2000.12.24号 12:00配信





温泉に関しての7回目

今回は9種類ののこり硫黄泉・酸性泉・放射能泉です。

7硫黄泉

白濁して鼻にツンとくるにおい(人によってはこの硫黄のにおいが
温泉らしいと表現する人もいる)が特徴の温泉で単純硫黄泉の他に・
含食塩硫黄泉の他にも含食塩重曹・含石膏・含芒硝などの含OO硫黄
泉がある。

効力がつよく、高齢や虚弱体質・皮膚の敏感な人・粘膜の弱い人は避
けたほうが良い。また換気が悪いと硫化水素ガスを吸いすぎで中毒を
起こすことがあるので注意する。

効能は末梢血管拡張作用があるので動脈硬化・しもやけ・神経痛・筋
肉痛・頚肩腕症候群・関節リウマチに効くが冠動脈・脳動脈を拡張さ
で角化症・痒み、慢性湿疹。に効く。腸運動を活発にするので便秘に
効く(下痢を起こしやすい)血糖降下作用があり、糖尿病にも効果が
ある。吸入にて喀痰増強作用があり慢性気管支炎緩和作用がある。

8酸性泉

「水1リットル中に水素イオン1個以上の温泉」で硫黄泉・鉄泉・
ラジウム泉が酸性泉であることが多く酸性OO泉と言われることが多
く、肌がヒリヒリし、刺激の強い温泉である。

抗菌力が強く水虫・疥癬・トリコモナス炎に効くが高齢者・病弱・皮
膚の弱い人は避けたほうが良い。ただれたりするおそれがあれば入浴
後よく真水で流すことが必要になる。また古くからただれた場合「直
しの湯」と称して、単純泉に入る事もある(群馬の河原温泉と草津温
泉など)。飲泉は胃の無酸症・低酸のひとに効く。

9放射能泉

ラジウム泉・ラドン泉の名で親しまれている。入浴により泉の中の
ラドンが呼吸とともに体内へまた皮膚や粘膜から吸収される、しかし
すぐに呼気で体外に放出される。大気中にすぐに飛散されるので放射
能といってもほとんど心配することはない。

利尿効果があり痛風や高尿酸血症、尿路感染症に良い。糖尿病の改善
効果、下垂体副腎系・卵巣・睾丸機能を高めるため「子宝の湯」とも
言われる。鎮静作用もあるので神経痛・リウマチ・自律神経失調症に
も効く。但し、湯当たりを起こしやすいので注意が必要。また大気に
すぐ飛散するので飲泉は源泉の近くで、持ち運びは不可。

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続けて注意事項です。

★疾患別

※ここで注意しておきたいのは各々の疾患の診断を各専門医にきちん
と診断してもらっている必要があります。

素人判断でかえって、悪化させる危険があるからです。またそのうえ
で適した温泉(泉質)を選ぶことが大切で温泉療法に精通している医
師にプログラムを作ってもらうことが効果を高める上で重要です。

《循環器疾患》

適応疾患:

 脳卒中後遺症・高血圧症・動脈硬化症・末梢循環障害・軽度の虚血
 性心疾患

水温:36〜38℃ (高温は急激な血圧上昇・心臓負荷増強のた
   め不可)浴室は換気に注意し15℃以下は不可。

一回入浴時間は20〜40分で一日一回〜二回(運動療法併用な
 ら一回)

適応泉質:炭酸泉・硫酸塩泉・硫化水素泉・放射能泉・一部の単
     純泉。特に炭酸泉は皮膚表面に炭酸の気泡膜ができ、
     32〜34℃での入浴が可能になり、より心負荷が軽
     減できる。

注意:湯あたりは極力さける

禁忌:心筋梗塞初期・脳卒中初期・中等度以上のうっ血性心不全
   ・悪性高血圧。飲泉もNa含有の多いものは不可。

★高血圧:朝よりは午後で1日1回。急激な入浴を避け、浴時間
     は5〜7分。暖かい浴室で身体を流してからが望まし
     く、のぼせに注意。入浴後は十分な安静を保つ、保温
     に気をつける。

★脳卒中:1日1〜2回。39℃前後。1回の入浴時間は20分
     後遺症 〜40分。のぼせに注意し、入浴後は十分な
     安静を保つ、保温に気をつける。単純アルカリ性泉。
     脳卒中後ほぼ1ヶ月以内に開始が望ましい。

★末梢循環障害 :炭酸泉(人工炭酸泉も可)、ラドン泉;特に
        (ASO,TAO)に併用が良い。40℃以下で少な
        くとも10〜20分の入浴、1日2回

《呼吸器疾患》

適応疾患:鼻炎・咽頭炎・気管支炎、気管支喘息、気管支拡張症
肺気腫
適応泉質:食塩泉、アルカリ泉、アルカリ食塩泉、硫黄泉
重曹泉 慢性気道炎
含重曹食塩泉
重炭酸土類塩泉

★慢性気管支炎:アルカリ泉に入浴し、入浴中深呼吸による吸入
法の併用。浴以外でも単独吸入法を用いる。

★気管支拡張症:炭酸泉・アルカリ土類泉に入浴し、入浴中深呼
吸による吸入法の併用。浴以外でも単独吸入法
を用いる。

★気管支喘息 :空気の清澄な所への転地療養に入浴による脱感
作をはかる。単純泉、食塩泉、カルシウム泉、
硫黄泉での気泡浴または剃毛浴法での皮膚刺激
鍛練。

《代謝疾患》

適応疾患:糖尿病

適応泉質:炭酸泉・重曹泉・土類泉・食塩泉・硫酸塩泉・硫黄泉
上記の混合泉(含有成分の多い泉)・温泉泥(含硫黄
成分)浴

★森林浴での血糖降下作用が認められるので森の中の温泉が良い。

注意 :食事・運動(温泉プール等が望ましい)療法の併用が
必要なので、可能な施設。

禁忌 :コントロール不良の糖尿病・ケトアシドーシス糖尿病
重症の網膜症・高度の蛋白尿を伴う腎症

適応疾患:肥満症・高脂血症

注意 :食事・運動(温泉プール等が望ましい)療法の併用が
必要なので、可能な施設。

適応疾患:痛風(急性期を除く)

適応泉質:アルカリ泉(飲泉);尿をアルカリに保つことによる
尿酸排泄量の増加

泉温;38〜39℃20分で尿酸排泄量の増加
(43℃3分では低下傾向)

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《消化器疾患》

適応疾患:慢性胃炎・神経性胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・慢性
腸炎・慢性消化不良・常習便秘・肝臓疾患・胆道疾患
膵臓疾患

適応泉質:

★飲泉;弱食塩泉=低酸・無酸の慢性胃腸炎
重曹泉=過酸型潰瘍
炭酸泉=低酸・無酸の慢性胃腸炎、常習便秘、胃アトニー
硫酸塩泉=胃アトニー、常習便秘、胆嚢炎、肝炎回復期
重炭酸土類泉=慢性胃腸炎、慢性下痢

※飲泉温度:過酸には快適温〜高温、低酸・無酸は冷泉
(冷泉多量での下痢に注意)
注意:日本の温泉は複合型が多いので成分分析表をもって温泉
医と相談することが望ましい。

浴泉:泉質の違いによる差は少ないが効果発現には湯治としての、
     有る一定期間が必要で一回浴では反応の個人差が激しい。

禁忌:胃炎・腸炎急性期、出血性潰瘍・潰瘍の急性期、悪性腫瘍
消化管の器質的通過障害

《運動器疾患》

一般にほとんどの泉質の効能に神経痛・筋肉痛・リウマチと書かれ
ていることが多く、これは入浴による温熱効果が疼痛に効くからであ
る。

適応疾患:慢性関節リウマチ

適応泉質:硫黄泉・食塩泉・単純泉・芒硝泉・酸性泉・放射能泉

★出来れば温泉病院のある温泉地で専門医の指導のもとに治療を
受けることが望ましい。本当の慢性関節リウマチの治療はとても
難しい。尚、よく「リウマチ気」があると言う素人判断は大変危
険で専門医の正しい診断を受けて下さい。あとよく間違えられて
いるものに変形性関節症などリウマチ類似疾患が多くあり、これ
らは次の関節痛・神経痛を参考にして下さい。

適応疾患:関節痛・神経痛・頚椎症・腰痛

適応泉質:アルカリ単純泉・食塩泉・炭酸泉・硫黄泉・放射能泉
痛む部分の部分浴(腰痛なら座浴、下肢なら足浴など)はやや
高温浴短時間で全身浴は微温浴20分で入浴中に痛む部位の軽い
運動を加えればより効果が上がります。打たせ浴は1ヶ所5分位
で合計20分以内(痛ければ無理をしない)。蒸し湯はのぼせ防
止にぬれタオルを頭に乗せて10−15分程度のローテーション
で、いろいろ組み合わせて1日1〜2回(打たせ湯・蒸し湯は1
日おき交互等)が良い。

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《婦人科疾患》

効果発現まで緩徐にて時間がかかるため最近は特定の婦人科疾患
より下記の利用が主体である。

不定愁訴:効能に慢性婦人病や更年期障害に効くと書かれている
ことが多く。泉質にこだわらず、気に入った(身体に
あった)温泉でよく、くつろぎ感と解放感が必要。

美人の湯:肌をすべすべつるつるにしてくれる温泉に多い。

感想肌;重曹泉・石膏泉は肌がしっとり潤う。

脂性のにきび・シミ;硫黄泉が角質の軟化溶解・解毒作用がある。

ストレスでの肌荒れ:刺激の少ない単純泉でリラックスを。

子宝の湯:泉質としては塩化物泉・硫黄泉・鉄泉が多いが、それ
よりも風土・気候等のロケーションも必要。但し、温
泉を併用するにしても不妊治療には専門医のもとで。

《皮膚疾患》

泉質はある意味では非常に難しい。古来より皮膚病に効く温泉は数
多くあるが、たんに皮膚病というだけで皮膚病のOOときちんと診断
されたものは少なく、効能にもただ皮膚病と記載されていることが多
い。組合せによっては逆に悪化させるおそれもある。皮膚科専門医の
診断が必要である。

アトピー:硫黄泉・酸性(硫黄)泉・アルカリ泉
皮膚の痒みを止め、清浄・保湿・殺菌効果がある。
(小児の強い乾燥型皮疹てはアルカリ泉の方が良い)

乾癬:硫黄泉・酸性泉・明礬泉が良く、単純泉・炭酸泉も効く。

真菌:硫黄泉が良い。とくに疥癬への効果は高い。しかし残念な
がら白癬菌・カンジダへの抗菌作用は疥癬に比べ弱い。

帯状疱疹:温熱効果が疼痛に効果がある。

《ストレス》

泉質は特に指定はないが刺激の強くない温泉で38〜40℃の湯に
夕方ゆっくり入浴する。

ゆったりとした時間帯で適度な運動(プールでの歩行浴など)と屋外
の散歩など、ただのんびりするだけでなく、ある程度規則正しい運動
と食事を心がける。不眠傾向なら遊興施設の多いところや海や川の音
がするところは避ける。

神経質なら森林浴等ができる標高4〜800mの刺激の少ない温泉。
過労気味なら少し高山性の温泉等が良いが移動に時間がかかりすぎる
場合は滞在期間を少し長めにしてください。

以上です。ではまた
白熊でした。


皆様の、ご意見をお待ちしています。
sirokuma@webnews.gr.jp


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