2000.10.29号 07:00配信


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第38次南極地域観測隊 ドームふじ観測拠点越冬隊
「食と生活の記録」より/by 西村淳


「春の観測旅行1」

11月22日観測旅行に出発。
メンバーは本山隊員をリーダーに佐藤・平沢・西村の総勢4名。雪上車2台に分乗しての旅立ちである。この旅行は2回予定されており、いずれも雪氷の観測が目的だった。 詳しいルート等は省略するが、ドームの周辺約数百kmを走破し、その間GPSによるルートの再測定・100本雪尺・3mピット等が予定されている。

天気は快晴。 私と平沢隊員が乗車する106号車は回転数は順調だが、水温がすぐ100℃に達するのが気になったが、機械担当「佐藤隊員」が「だいじょーぶだと思いマース」とのコメントを信用して、なるべくななめから水温計を見ることにした。こうすると98、5℃くらいには見えないこともない。雪上車のトラブルはともかく、久しぶりに基地の外に出るのはいかにも快適で、胸の中がどんどん軽くなってくるのが感じられた。

最初はルートの再設定から始まった。過去の隊が天測等で位置を出し、竹竿を道しるべにしているが、ハイテクマシンGPSで測定してみると、最低で5m、最高で2kmものずれがあることがわかった。今回は数字的には正しいルートを、新しく作ることはせず、先人に敬意を表し竹竿を新しく立て直し、位置のずれを修正して地図に記入することにしたが、古い竹竿は雪面に10cm位しか頭を出していない地点も多々あり、近くまで行って双眼鏡で捜すのだが、結構見つからず停滞する事もあった。そんなとき威力を発揮したのが、「本山隊員」の超能力と言っても過言ではない眼力だった。佐藤隊員曰く「本さんが双眼鏡でポイントを捜している時に横から見ると絶対目が飛び出していた。」と断言していたので、多分日本で目にレーダーをねじこんできたのだろう。

キャンプ地に入ると通信も兼任していた私は、食事の準備は本山隊員か平沢隊員にお願いして、すぐHFアンテナの設置に取りかかった。食材はほとんど基地でレーションにし、冷凍で持ってきているので、電子レンジでチンするだけで温かい食事にありつくことが出来た。 30分くらいで宴会を開けるのだから「しらせ」からもらってきた糧食を調理していた夏旅行と比べると雲泥の差である。定時連絡はとても楽しく、ドーム基地との電波の状態が悪いときは、昭和基地が中継に入ってくれる。 数分で終わるはずの予定が一時間以上喋ってしまうこともしばしばであった。「昭和補給隊」のなつかしいメンバーもしばしば登場し、ドーム旅行の想い出で盛り上がった。

ドームから数百キロ離れ、昭和基地からも千四、五百キロの距離を考えると札幌と名古屋位の距離で話していることになるが、感覚的には車で数分くらいの距離に感じられた。


観測旅行出発

注意:写真はすべて国立極地研究所に属します。
個人で楽しむ以外(メディア等への掲載)は禁止します。



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