2000.10.28号 06:00配信


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第38次南極地域観測隊 ドームふじ観測拠点越冬隊
「食と生活の記録」より/by 西村淳


「しらせ出港2」

11月19日「しらせ」と「昭和基地」との間の定時交信の様子がドームでも聞き取れた。まだ数千キロの彼方だが、着実に南極に近づいているのが感じられた瞬間だった。11月3日に涙・涙で旅立っていった「昭和補給隊」も無事出発地点のS16に到着し、今日は久しぶりに温泉のような昭和基地の風呂で、旅の疲れをいやしている事だろう。

気温はー35℃ながら、太陽の光がぽかぽかと温かくまるで春のようだった。春真っ盛りと言っても、ここにはさらさら流れる小川はなく、すみれやレンゲやたんぽぽも咲いておらず白一色の雪原が広がっているだけだが、この無愛想な景色の中にも、どこかしらやさしさが加わったようで、Tシャツ一丁で昼寝としゃれ込んでみたかったが、たちまち「汚いオヤジ丸ごと冷凍死体」が完成してしまうのが目に見えていたので、0.5秒でその考えは没にした。昼近くになると気温はぐんぐん上がり、なんと越冬史上最高のー25℃を記録した。

川村の兄ちゃんはそのカリンコリンの体にもかかわらず、Tシャツと短パン姿で基地内を移動していた。それを見てなんとなく自分も熱く感じられ、下は羽毛服、上はTシャツの季節不明姿で「かちんこちんドーム」の整理作業を行ったが、出てきた汗がたちまち凍り付き肌がじゃりじゃりしてきたので、肌荒れになると困るので、やむをえず上も羽毛服を着用した。この好天の機会をとらえ、間近にせまってきた観測旅行の用意を一気に進めることにした。この日頑張ってやった外作業を列挙すれば

・コア(37次隊まで掘っていた地下の氷)避難小屋からプチル庫までの搬送作業
・竹竿運搬(スノーモービルにて)
・観測旅行用燃料橇整備
・燃料庫へJP5(航空燃料・・ここでは灯油の代わりとして使用)搬入
・浅層掘削用機械橇積み
・電子レンジ106号車に設置
・103号車油漏れチェック
・GPSゾンデ放球
・オレンジ御殿除雪

そして最後に福田ドクター特製「ドックカレー」の仕込みのスーパーバイザー忙しかった一日の幕がやっと降りた。

食糧仕分け作業

注意:写真はすべて国立極地研究所に属します。
個人で楽しむ以外(メディア等への掲載)は禁止します。



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