2000.10.18号 07:00配信


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第38次南極地域観測隊 ドームふじ観測拠点越冬隊
「食と生活の記録」より/by 西村淳


「昭和補給隊出発」

1997年10月7日、「昭和基地」から16km離れた内陸。「S16」から燃料他物資の補給のため「昭和補給隊」が出発した。総行程往復2000km・・・。

「ドーム越冬隊」は着けば終わりだったが、補給隊は又「昭和基地」まで戻らなければならない。しかも雪面はコンクリート状にガチガチに固まった表層と、グラニュー糖のようにさらさらの軟雪面が続く超悪路が延々と続いている。「昭和基地」の温暖地帯?で過ごしてきた躰には骨身にしみる難行苦行の連続であろう。ドーム越冬隊にとってもしばらくぶりに見る下界の人である。しばらくぶりに逢う恋人の様に、いやそれよりもずっとストレートに早く逢いたくて逢いたくてたまらない。自然にソワソワ浮き浮き気分が高揚してくるのが感じられる。現実には1日50km位しか走行できないのだから、まだ950kmも遠くにいるのだがそれでも足音が、雪上車のキャタピラーの音がどこからともなく聞こえてくるような気がする。

「補給隊昭和基地出発」この一報で確かにドーム基地の空気が変わった。体感できる、気温とかその他の自然条件よりも、この知らせは長く・つらく・寂しく・暗くそして寒かった冬の季節の終わりを告げてくれた。

冬の終わり・・・。

これは同時に終わりに近づいて来た越冬生活そして日本が近づいてきた事の何よりも強い証だった。うれしさ・・・確かに帰れると言うのはそれのみを目標にしてきたと言っても過言ではない、越冬隊員達にとって凄まじいほどの「心の歓喜」をもたらしてはくれたが、それと同時に何とも言えない寂しさ・悲しさが心をさっとではあるがよぎった事も事実である。


ドームへ向かう昭和基地補給隊

注意:写真はすべて国立極地研究所に属します。
個人で楽しむ以外(メディア等への掲載)は禁止します。



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