2000.7.21号 06:00配信





今日は、白熊です。前回に引き続きアップします。

救急蘇生の講習会は、私が講師をしておりますが、きわめて不定期です。「白松メディカルクリニック」主催のほかに、私が所属している「紋別ひとの会」主催でも行っております。また、ご希望があり、日時・場所等の都合さえあえば、いつでも出張して行なっております。参加人数は何人でも構いません。(本当は多すぎるときめ細かい指導が、難しくなります。30人以内がいいのですが、10人でも構いませんし、100人でも大丈夫ですよ。)昨年度の一例をあげれば、紋別の保育園の、PTAの方のご依頼により、父兄の方々と保母さん対象に、保育園におうかがいして行いました。

申込先は
「白松メディカルクリニック」01582−3−2508
「紋別ひとの会」事務所 01582−3−3170 まで

※※このコラムへの質問箱への申し込みでも構いません。
   (webmaster注:「質問箱」は掲示板のことだと思います)

さて、遭遇は避けたいものですが、折り悪く「そのような状況に」遭遇してしまった時、まずは、119番です。パニックに陥らず、確実な119番への連絡方法を、記します。

『正しい119番への救急通報』について

あわてずに『自分の名前』と『救急通報』か『火事』の通報かの区別を言う。

『場所』をはっきり出来るだけ詳しく出来れば目印を添えて伝える。

患者さんの状態について、まず意識・呼吸・脈拍についての有無を言う。
次に。わかる範囲での詳しい状態を報告する。
もし病院にかかっていたら。病院名と病名も告げる。

救急隊が到着したら、

通報後の経過を簡単に報告し、その後は救急隊の指示に従う。

医療機関へ同行する場合

保険証と服用中の薬があれば持参する。
(出来れば常日頃より、保険証と家族のかかりつけの病院名と病名、薬または、薬の名前をわかりやすいところに保管しておいて、家族全員が知っておくことは大切なことです。)

・意識の確認の仕方

目の前で、突然倒れた場合や倒れている人を発見した場合、あわてずに次のことをして意識を確認して下さい。

・声をかける
・身体の一部に触れ(肩などを軽く揺すぶりながら)声をかける
・軽い痛み刺激を与えてみる

また出血や嘔吐などを確認することも大切です。

意識が無い場合や、低下していたら、救急通報や応援を依頼して下さい。意識が低下していて呼吸・脈拍がしっかりあれば、昏睡体位にしておくと吐物誤嚥が防げます。

昏睡体位とは、身体を横向けにし、下になった腕を頭側に伸ばし、脚を伸ばします。上になった腕は、肘を曲げ、手の甲を顎の下におき、脚は膝を曲げます。この状態から少しうつ伏せぎみに倒します。こうすることにより、もし、胃の内容物を吐いたとしても、気管への誤嚥が防げ、また手の甲の高さ分、吐物がたまらなければ、口を塞ぐ事なく呼吸が可能になります。とくに、脳血管障害の場合、頭蓋内圧力が上がり、吐くことがよくありますので覚えておくと便利です。ただし、激しく動かすことは絶対にしてはいけません。

尚意識を確認する時に、あわてずに必ず自分の身の安全を、確かめてから行ってください。

二次災害の予防。

・気道確保
意識が無いか、強い低下していて、呼吸が微弱または停止しているときは、舌が喉の奥へ、落ち込んで、息の通り道をふさいだり、なにか物が詰まってふさいだりしていることが、原因のことがあります。

下顎を持ち上げたり、頭を後ろに反らせたりすることで、肺へ息(空気)が通る道すなわち「気道が確保され」ることにより呼吸が再開したり、力強くなることがありますので、意識が低下、または無く、呼吸が微弱または停止していたら、まず気道の確保をして下さい。なお、再開しない場合、異物とか吐物が詰まったりして、気道をふさいでいる場合があり、この場合はすぐに異物を取って下さい。

   ★これが救急蘇生のABCのA(airway:気道確保)です。

・人工呼吸
    
気道を確保しても呼吸が微弱、または停止していたら、直ちに人工呼吸を行います。現在一番効果がよいと推奨されているのが、口対口 呼気吹き込み式人工呼吸(mouth to mouth breathing)で自分の口で相手の口を完全に覆い、相手の鼻を指でつまんでふさぎ、息が漏れないようにして、気道を確保したまま息を吹き込みます。

まず最初に大きく強く2回吹き込みます。これは喉の奥で取り切れなかった異物を、胃の中に押し込む効果もあります。1回吹き込むごとに、覆っていた口と、塞いでいた鼻を、はなして気道を確保したまま、呼吸を確認して、無ければ5〜6秒に1回ゆっくり大きく、吹き込む事を、息を吹き返すまで繰り返し続けます。

  ★これが救急蘇生のABCのB(breathing :人工呼吸)です。

※最近ではヘルペス・エイズ等の感染予防に、直接口対口を、触れる事なく、ハンカチ等を間にいれる事が、推奨され、ビニールシートに一方弁付の簡易用具も、開発・発売(500円位から)されており、私としてはこの簡易用具をお持ちになることを、お勧めします。実際私が、救急蘇生の講習会の講師として参加したときには、必ず、お勧めしています。

・心臓

人工呼吸2回後、大人の場合頸動脈、乳幼児なら鼠径部の大腿動脈マッサージを触れて、脈拍の有無を確認し、微弱または触れなければ、胸部圧迫式心マッサージを行う。

手掌基部(手のひらの手首側:足で言う踵の部分)を、胸骨下1/3の部位(胸の真ん中で肋骨と肋骨の間にある骨のみぞおち側から、指を3本横にした分を残して、手掌基部を置いた位置)に乗せて、垂直に5cm位押し込む。これを、1分間に約80回くり返す。1人で行う場合は、心マッサージ15回に、人工呼吸2回の割合で繰り返し、1〜2分後に脈拍を素早く確認し、微弱または触れなければ、くり返す。確認をふくめて、この動作を救急隊に引き継ぐまで続ける。

2人で行う場合は、心マッサージ5回に人工呼吸1回の割合で行い、適時交代して継続して行う。3人以上いる場合は、2人の時と同じ割合で適時交代して継続して行う。心マッサージの回数は、1分間に大人で80回、小児で100回、乳幼児で120回と覚えておけばよい。乳幼児なら片手や指2〜3本で圧迫してもよい。

  ★これが救急蘇生のABCのC(circulation:循環)です。
※尚このCをその行為をとってcardiac massage:心マッサージと言う場合もあります。

この項の締めくくるに当たり1回目にも申し上げましたがもう一度繰り返します。

救急蘇生は、絶対に無理だとあきらめずに、救急隊へ引き継ぐまで根気よく続けてください。蘇生の途中で自分勝手に中止(死亡を意味します)の判断をしないでください。その確認・判断は病院に搬送された後に医師が行います。

その判断(蘇生の中止=死亡認定)を下すことは、救急を担当する医師にとって、とても難しく・辛い判断の瞬間です。

反対に蘇生に成功したときの喜びと、安堵感は、計り知れないものがあります。特に、市民の方から救急蘇生が引き継がれたときは、うれしさも倍加し、講習会の励みともなります。

ぜひとも各地で行われている、講習会に、積極的に参加して、知識と技術を習得してください。

ではまた

sirokuma@webnews.gr.jp


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