2001.3.31号 08:00配信


SO NEPAL

(紋別市社会福祉協議会:篠原辰二)


僕はこの度の機会を与えてくれた「ひとの会」という市民団体の他にも、別な団体にも所属している。その団体は世界150ヶ国以上もの間で、同じ理念を基に活動している「スペシャル・オリンピックス」という団体である。スペシャル・オリンピックスは、故ケネディ大統領の妹であるユーニス・ケネディ・シュライバーが会長を務める世界的なボランティア運動組織。この名の下に、知的発達に障害のある人々と共に、スポーツ・文化・芸術といった機会を共有し、生きる喜びと勇気、感動を分かち合うものだ。日本では1994年にスペシャル・オリンピックス日本として活動が始められ、現在18都道府県でその運動が行われている。僕が属しているのは、「スペシャル・オリンピックス日本・北海道」と呼ばれる地区組織の一つ。

ネパールでは1987年にこの運動が始まった。しかし、この国ではスポーツを楽しめる人は、裕福な人といった概念が存在し、ましてや障害を持つ人々へのケアや学習といったものは到底考えられなかった。今日、先にも話したNAWB同様、ネパールの障害者施策や地域ケアの理念が普及し始めたことから、今では少しずつ、こうして障害者と共に過ごす考え方が生まれてきている。スペシャル・オリンピックス・ネパールの事務所は、首都カトマンドゥの町はずれにある。あたりを民家に囲まれた3階建ての建物、その2階部分にその事務所がある。事務局を勤めているのはS.P.パンディットさん、36歳。1994年にSO運動のボランティア活動を始め、その2年後に現在の事務局長に就任した。ネパールに事務所ができたのもこの時期だ。彼とはネパールに訪れる2ヶ月も前からイーメールでのやりとりを始め、こうして逢うまでにもなった。実際、顔が見えない会話にとまどいや不安もあったが、無事に逢うことができた。

この日初めてあった彼はとても親しみやすく、色々な話を僕等にしてくれた。ネパールはその国土を75からなる小さな郡で構成している。その内、SO運動を展開しているのは21の郡。資金面や活動資材不足の問題もあり、ボランティア組織だけでの運動には限界がある。そのため、ネパールでは政府の障害者施策や特殊教育施策とタイアップした知的障害者支援を行っている。GNP$220USのこの地で、この様な活動を展開して行くのは難しい。しかし、NABWで海外協力隊員として働いている竹内さんが言ったように、今、こうした活動が未来にとって必要であると感じさせられる。SOネパールが今後の活動を進めていくために、活動資材や資金の援助を「お願いします」と事務局長のパンディットさんからも言われた。日本、そして北海道の実状も同じ事なのだが…。言葉や宗教、生活や文化の違いはあるにせよ、遥か6000kmも離れたネパールのこの地で、また一つ思いを共有し、同じ話題で話が出きることの喜びを感じた。



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