2001.4.1号 05:00配信


カトマンドゥ

(紋別市社会福祉協議会:篠原辰二)


僕等の旅は終わりに近づいていた。町はずれのカマルポカリという所にあるSOネパールの事務所を訪問した後、ラニポカリを経てアサン広場へと向かう。僕等は日本で安全を祈っているだろう友人達にお土産を探しに出かけた。1月6日土曜日、休日が土曜日のネパールの商店街は、いつにも増して人で埋め尽くされている。昔ながらの商店が続くこのアサン広場では、小学生の絵の表彰式が行われていた。大人顔負けの出来映えである。表彰式は仮設のステージで行われ、その上で子ども達は誇らしげに自分の絵とトロフィーを掲げていた。ネパールのお土産は手作りの民芸品、カレンダー、お茶に香辛料が主流である。海外旅行のお土産にはチョコレートを想像する人も多いだろうが、この国にはそう言ったものはほとんど無い。店先の商品にはどれも値札が着いておらず、店主の言い値から値下げ交渉をして購入するという方法だ。店主はお客の顔を見て値段を判断するという。店主との値引き交渉は見ているだけでも楽しい。僕もこの駆け引きが好きだ。最初は英語や流暢な日本語で、値段を言ってくる店主に僕はネパール語で言葉を返す。すると、その値は一気に下がる。同じものをいくつも買うときは、「○個買うから、一つの値段を○○ルピーにして」とか、「○○個買うから一つおまけしてくれ」とか、こういった具合だ。日本ではあまり買い物に出歩かない僕だが、ネパールではこの駆け引きがおもしろく、良く買い物に出る。

カトマンドゥの代わり映えには驚いた。4年前、この街には至る所にゴミが散乱し、子どもや男達は道の側溝で排便を済ませていたくらいだ。だから街の臭いもひどかった。2年前にはドイツのODAで清掃車が街中を走り回るようになり、随分とゴミは減った。何よりも人糞もだ。今回、この街には箒やバケツを持った清掃員を良く目にした。彼等は1日中、道路や店先のゴミを取り除きく作業をしている。どおりできれいな訳である。この街の空を厚く覆っていたスモッグも幾分かは薄らいだ様にも思えた。街からゴミが消えてきた変わりといっては何だが、増えてきたものもあった。繁華街を歩くと、ヒンズー系の人々がすれ違いざまに、耳元でささやく。「ハッパ」「ハシシ」「タバコ」と。それらは全て大麻などの麻薬。一応この国でも麻薬の規制があるのだが、お祭りなどの時は平然として売られていることもある。また、これらを目的として、この地に長期滞在する外国人も少なくない。勿論その中には、日本人もいるのだろうが…。街の装いは変わっても、この街の人や商売は変わってはいなかった。いつかまた、この地を訪れる頃にはどのような街になっているのだろうか。期待と不安が僕の頭をよぎる。またいつか、この地を踏んで確かめたい。



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