2001.3.23号 07:00配信


ベトラワティ村

(紋別市社会福祉協議会:篠原辰二)


ネパール王国バグマティ県ラスワ郡ベトラワティ村。首都カトマンドゥの北、約80Hにその村はある。村の人口およそ2000人。戸籍もなく、村から村へ移住する人も多いこの地では、はっきりとした人口などの数値が出てこない。

このベトラワティ村こそが北見市を拠点とするNGO団体「ランタン基金の会」の拠点である。その支援範囲は北見市と同様の広さ、年々支援活動が広がりを見せ、その範囲は急激に広がってきている。そのために、実際に目の届かない支援地域もあることは事実である。

トレッキングを目的とするツーリスト達の途中滞在地となることもあるこの村では、日本人やその他の外国人の姿を見ることも珍しくない。実際に僕等がこの村にいるとツーリストバスが多く行き来をする。そのために、この村の現状を目の当たりにするのはそれらの人も同様で、ランタン基金の会とは別にNGOでこの村に支援をしている外国人も多い。残念ながらそういった支援者同士の情報交換や問題の共有化はなく、支援が二重に行き渡ってしまったり、支援の方向性の相違から住民に矛盾を感じさせてしまうこともある。

4年前に建てられた、ニルカンタ高校の校舎。ソロプチミスト北見の支援を受け建てられたものだが、今その2階にドイツのNGO団体の資金援助で校舎の増築がされている。そのまた3階には日本の支援で教室がたつ。この学校にとっては教室が増え、良いことなのかも知れないが、同じ支援をするもの同士の情報の共有はされていない。このことは、支援活動を展開するときに大きな問題となってくると思うのだが。こういった海外のNGO支援が展開されている村人達は支援のお願いが上手だ。そのことにより村が物質的な豊かさを得ることは知っている。「お願いします」この村にはこの言葉が氾濫している。

ベトラワティ村に着いたこの日、休日となっている学校の教室で大人達が何かの授業を受けていた。聞くと政府の教育施策の一つだという。乾期で農作業の少ないこの時期、郡の中にある8つの大きな町村から約40名の大人達を集め、保健、法律、道徳、識字の必要性などを学んでいた。集まっている大人達の多くは学校の先生や大きな商店の経営者。もう一度それらの基礎を学び、それぞれの村で村の大人達に教育を施す。ネパールでも子ども達の識字率は高まっているが、識字のできない大人達が多いため、自分の子どもに教育を受けさせることをしない親たちが多いという。大人達に教育の大切さを知ってもらい、子どもを学校に通わせると言うことだ。

また、現在一番力を入れていることの一つにファミリープランニングがある。なぜ子供が産まれるのか、避妊具の使用方法もここで教えられる。ネパールの急激な人口増加を見込んでの事なのであろうか。各国のNGO活動などにより、働かなくても物質的豊かさを得ることができるネパールの村々。しかし、政府の施策としてでも、自分たちで自分たちの必要な知識を得るために学び、生活を豊かにしていこうとしている事実もある。この村に支援の手が加わってから早10年、4年前からこの地に訪れている僕の目には、ゆっくりではあるが村人達の感覚は変わってきているし、支援の手も行き届いてきているように思えた。



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