2001.3.21号 08:00配信


酒飲みの話し

(紋別市社会福祉協議会:篠原辰二)


カトマンドゥの街は夜でも明るい。外国人ツーリスト達のためにクラブやバー、レストランが軒を並べている。新年の装いか、建物の壁一面に電飾をし、客を呼び込んでいる見せも多い。そのようなところで酒を飲むのは外国人ツーリストだけではない、金持ちのネパール人やツーリストガイド、若者達も酒を楽しんでいる。僕も酒が好きだ。ネパールに来た頃、最初に覚えたネパール語があいさつの「ナマステ(こんにちは)」と「ドゥイ・ボタル・ビアル・ディノス(ビールを2本下さい)」である。なぜ、2本なのかは解らないが。

旅先での生水は危険だというが、ネパールでも最ものことである。人は大地の恵みを受け、そして川に返る。ネパールの場合、人が死ぬと河原で火葬にする。ある程度火葬がすむとそのまま遺体を川に流す。川はこういった屍、糞尿、工場の排水などによって、とても汚染されているからだ。話は戻るが、僕はその日一日の身体の渇きをいやすために酒を飲む。本間くんは嗜む程度であとはコカコーラ。ネパールの郷土料理にはビールが良く合う。香辛料やその辛さが酒を進める。

その日僕等はガイド役のシバと夕食に出かけた。この日は貸し自転車で15kmもの道のりを走り回ったせいか、身体が疲れ切っている。ネパールの郷土料理はダルバートと呼ばれる白米に豆のスープ、野菜炒めやイモの煮付けを混ぜて食べる料理だ。村では寝ても覚めてもこの料理だけ、他の料理はほとんど無い。ジャガイモが多いとかトマトが入っているとか、代わり映えといえばそのくらいしかない。僕等もネパールに来てからそのダルバートと呼ばれる料理を食べることが多かった。

この時、シバが連れていってくれたのは町はずれにあるネワール料理の店。ネワールとはネパールの民族の一つ、その料理は酒のつまみと言っても過言ではない。鶏の肉の唐揚げ、牛の胃袋の炒め物、ライスペーパーのピザなどだ。そこの店主は日本語がとても上手だった。聞くと日体大のマラソン選手だったと言う。瀬古選手とも顔見知りという。その店主とは日本の社会や経済、僕等にも難しい話をたくさんした。気分を良くした僕等はその後店を梯子する事にした。

2件目はツーリスト向けのレストラン。その奥の方で火を囲み暖をとりながら数人のネパール人が酒を飲んでいた。どうやら相当の金持ちらしい。普及し始めた携帯電話を持ち歩いているその姿で解る。そのうちの一人は8年前に北海道に来たことがあるという。旭岳、トムラウシなどの山々をトレッキングしに来たという。彼等にはハイキングのようなものかも知れないが。「サッポロビール園はおいしかった」とか「日本の女性は酒が強い」とか、話は弾む。僕のネパール語も酒が進むにつれ冴えてくる。いつしか、英語、日本語、ネパール語の3カ国語が入り乱れての会話になっている。みんなただの酔っぱらい。酔っぱらいの話は万国共通なのだろうか。



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