2001.3.20号 07:00配信


神の化身にまたがる

(紋別市社会福祉協議会:篠原辰二)


カトマンドゥの街は、昨日から引き続きストライキに入っている。僕等の足も止まったままだ。しかし、街は昨日よりも商店がシャッターをあげ、商売を行っている。「仕事をしないと、ご飯が食べられない」とシバ、当たり前のことだ。僕等は1日200ルピーの貸し自転車店を訪れ、自転車を借りることにした。この日はカトマンドゥの南にあるパタンという古都に行くことにした。もう歩くのはウンザリ、しかもパタンまでは往復10H以上の道のりだ。貸し自転車はブレーキの効きが悪く切り替えのギアが渋い、そしてサドルが硬くタイヤも少々曲がり気味のとても良いものではなかった。しかし、贅沢は禁物、途中で幾度も外れたチェーンをはめ直しパタンに向かう。目的地へ着く頃には僕の手はオイルだらけになってしまった。

パタンにはネパール唯一の動物園がある。そもそも、その動物園に行くのが僕等の目的であった。4年前、2ヶ月間滞在した村では虎や大トカゲなども目撃した。その時の彼等にも会うことができるのだろうか、動物好きの僕は、ネパールの動物園にどんな動物たちがいるのか楽しみだった。動物園の入園料は外国人の大人で60ルピー、カメラの持ち込みは別途10ルピーかかる。動物園は日本と変わらず、家族連れやカップルでにぎわっている。広場や池の畔では、そんな人々が腰を下ろし、お菓子やランチを食べている。若者のデートコースとして、動物園は人気だとか、これもシバが教えてくれた。日本の動物園の多くは安全性の確保のため、動物と人間との距離がある程度はかられているが、ここの動物園はちょっと違う。ワニやヒョウの檻でさえ、手を入れると噛みちぎられるくらいの距離。猛獣以外は檻の中に手を入れ、直接動物を触ることができる。虎、サイ、ヘビ、カメ、鳥、魚…。この動物園には東南アジアやインド、中国やスリランカ等の動物が集まっている。

おもしろかったのはトロピカルフィッシュのコーナー、色とりどりの熱帯魚が紹介されている隣に金魚と鯉が泳ぐ。原産国の欄にはしっかりと「JAPAN・CHINA」と書かれている。鳥のコーナーではごく一般的なインコもいる。そんなネパールの動物たちに夢中になっていると、周りの入園者達がザワザワし始める。その方向にはゾウが歩いていた。しかも通路を。背中に4〜5人の乗客を乗せ、ゆっくりと悠然と歩く。僕はすぐに「乗りたい」と声を上げ、本間くんにも勧める。「折角だから」と本間くん。結局、シバも一緒に一人100ルピーを支払い、象に乗ることにした。高さ約3m、ゾウの背中にまたがり動物園を歩く。当然ながら初めての経験。自転車で遙々パタンまで来た甲斐があった。

インドやネパールでは有名な神様の一つにガネス神がある。ゾウの面持ちをし、手足が6本。足下にはネズミを従えている神様。金銭、健康、競争、権力、商売、食べ物など大抵のことなら何にでも御利益のある神様。ネパールの街にもガネス神を奉った寺院や仏像などが多く存在する。そのガネス神の化身であるゾウにまたがり、僕等はすっかりと観光を楽しんだ。 



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