2001.3.14号 08:00配信


ネパールの花婿

(紋別市社会福祉協議会:篠原辰二)


ネパールに到着したこの日、友人のシバが僕等を結婚式に招待してくれた。とは言ってもシバの結婚式ではない。話を聞くとシバの仕事で知り合った友人。その人は日本人の男性、ちょうどこの日ミレニアム婚を果たせたという。相手はネパール人女性、美しい人だった。緊張した面持ちでネパールの伝統的な民族衣装を装い、頭にはトピーと呼ばれる帽子、腰巻きには山刀のククリを下げている。

ネパールの結婚式は豪華だ。人によっては1週間もの間、結婚式を挙げる人もいるくらいだ。普通、ネパールの結婚式は、花嫁が実家から嫁ぎ先までをドーリーと呼ばれる籠にかつがれ歩いて行く。その間、すれ違う人々から祝福され、時には祝杯を挙げながらやっとの事で嫁入りを果たす。その後は二人そろってマチを練り歩く。カトマンドゥでは、鼓笛隊を従え、色とりどりの花のレイで飾られた日本車に乗り、パレードをする。それはもうお祭りに近い。

この日、このネパールの花婿も市内をパレードしてきたという。そして夜を徹してのパーティー。会場となったレストランはどこからともなく人が増え、主役である新郎新婦の友人の友人のそのまた友人など、知らない人からも祝福を受け、一緒にパーティーの一時を過ごす。僕等もその一員だが。僕等も片言のネパール語と英語で祝福をする。一つのテーブルを囲み、ビールを酌み交わす。一人ずつ用意されたスナックの盛り合わせを酒のつまみにパーティーは続く。

最近ではネパール人と結婚する日本人が増えているという。男性は自分にとって献身的でおしとやかな性格を持つネパール人女性に惚れ、女性は生きることに情熱を燃やすたくましくそして心優しいネパール人男性に惚れるという。シバの話だ。実はこのパーティーの席には僕等の他にも日本人がいた。カトマンドゥの大学でネパール語を学んでいるという「志穂さん」と正月休みを利用して彼女に会いに来た友達、彼女たちにもそれぞれネパール人男性の恋人がいた。お互いに結婚を考えているとのこと。情熱的な日本人女性はネパール人男性に好かれるという。これもシバが教えてくれた。ただ単にシバの好みの問題かも知れないが。ちなみに彼には奥さんがいて、かわいい娘と奥さんのおなかにはもう一人の子どもが育っている。

僕が初めてネパールの地を訪れたとき、シバと約束していたことがあった。といっても彼が勝手に話を盛り上げているだけなのだが。そのころからホテルのマネージメントをしていた彼は、僕の結婚式を取り持つと言ってくれた。もちろんネパール式結婚式。鼓笛隊にパレード、パーティー付きだ。結婚相手がネパール人だろうと日本人だろうと関係はない。「私が最高の結婚式をしてあげる」と意気込むシバ。「もし僕にその時が来たら、真っ先にシバに連絡するよ」と僕も笑って答えた。その約束を未だに彼は覚えている。もちろん、こんな話をするときはいつも酒を飲んでいるときだ。



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