2000.11.1号 08:00配信


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第38次南極地域観測隊 ドームふじ観測拠点越冬隊
「食と生活の記録」より/by 西村淳


「12月だ2」

12月8日、「第2次観測旅行隊」がドーム基地を後にした。メンバーは前回に引き続き「本山隊員」をリーダーに福田・川村・西平隊員総勢4名。 今回は前回ほど距離は走らないが南緯80度付近での浅層掘削の実施と、その付近で1960年代に放棄されたアメリカの前進基地「プラトー基地」の確認が主な目的となっていた。

人口の半分近くがいなくなった基地は急に空間が広くなったような気がした。残った隊員諸氏も人恋しいのか、いつもよりひんぱんに食堂を出たり入ったりしてい
るようだ。午後からは早速「昭和基地」との定時交信で無線機の前に陣取った。「しらせ」は無事にフリーマントルを出港したようだ。さらに「昭和基地」にはおもいがけないゲストが訪れたとか。カナダのAdventure Networkのツインオッター機が飛来し、2〜3日滞在するとの情報だった。例の急病人の搬送もそれを使ってなんとかと検討されているようだが、ここへきて、そんな冒険をおかすかどうか・・・極地研と文部省のお手並み拝見と言ったところだ。
無線で聞けば「世の中は動いているなぁー」と実感できるが、周りを見渡すと人口が少なくなったドーム基地と真っ白い大雪原が360度広がっているだけで体感
度は限りなくゼロに近い。

あわただしくなっている「昭和基地」とは対照的にドームの時間はゆっくり、のんびりと流れていた。又この日は「しらせ 艦上」より、越冬こそしないが引継で夏期間ドームを訪れる、「39次隊 ドームリーダー山田隊員」より問い合わせのFAXが届いた。山田隊員、本山隊員の大先輩で50代後半のご高齢の方である。なんでも今回のドーム旅行隊は平均年齢44、3歳だそうで、 あの超スーパーハードな1000kmの行程を走破できるのか若干気になったが、自己評価で「非常なる弱体チーム」「ゴムが伸びきった余裕が全くないチーム」「疲労困バイの末ドームに着くと思われる」と送ってきた。こういうチームは得てして、プロフェッショナルが揃っていることが多いので、「あまり舐めてはこっちがやられる。」と人生の裏街道をたっぷり見てきた性格のひねているおじさんはやや伸びかけたパンツのゴムをちょっとだけ締め直した。

第2次旅行隊出発


注意:写真はすべて国立極地研究所に属します。
個人で楽しむ以外(メディア等への掲載)は禁止します。



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