2000.9.11号 06:00配信


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第38次南極地域観測隊 ドームふじ観測拠点越冬隊
「食と生活の記録」より/by 西村淳


「昭和基地味醂が切れた3」

鰺・納豆・味醂等の余剰物資?を放出し、首尾良くウイスキーを手に入れた段階で、土地転がしをして大儲けした地上げ業者のごとく、共通語で「有頂天」 北海道弁で「調子こいた」状態に突入した。「他に何かありませんか?」と聞かれてもいないのに質問のMAILを送り続けた。しばらくして帰ってきた答えは「ないとは思うけれど、長ネギとじゃがいもがあったら少し・・・・。」との質問。

ありますよ!!それも山ほど!!!
「昭和基地」では生鮮野菜をオーストラリアで調達してくる。タマネギ・キャベツ・グレープフルーツ、オレンジ等を何トンも買い付けて、大事に大事に使っていくのだが、越冬も後半に入ったこの時期、目をふいたり腐ったりで、ほとんど昭和基地の野菜は冷凍品以外残っていない。ドームはと言えば、輸送途中の気温から考えても全部の凍結が予想され、最初から生鮮野菜は全く持ってきていなかった。長ネギは姿と小口切りにして冷凍して貰い、タマネギはスライスやダイスカット、はたまた乾燥品も大量に持ち込み、じゃがいもは北海道が世界に誇る企業「ホクレン」から丸のまま、クォーターカット、賽の目、ベイクドと様々の種類を買い付け、越冬後半と言えども大量の在庫がドームの冷凍庫に備蓄されていた。

ついでに親子丼用の、溶き卵上に解凍される、「冷凍全卵丼用」のパックも大量に持ち帰って貰うことにした。越冬開始の頃は「足りなくなったらどうしよう」との強迫観念にとりつかれ、米の一粒でも確保しておきたくなり、「しらせ」からくれる物でも、ものもらいのごとく、がめつく・せこくキープしたものだが、先が見えてきた安心感と久しぶりに他の人類の顔を拝めるうれしさの相乗効果から、金額にすると¥1.000.000以上もパーっとやってしまうのだから、人間の心理っておもしろいものである。ちなみに日本に戻ってきた現在、この「大盤振る舞いおやじ」はどこかに行ってしまい、「煙草も人にやりたくないケチおやじ」にすっかり戻ってしまった。

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注意:写真はすべて国立極地研究所に属します。
個人で楽しむ以外(メディア等への掲載)は禁止します。



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