2000.5.18号 06:00配信


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第38次南極地域観測隊 ドームふじ観測拠点越冬隊

「食と生活の記録」より/by 西村淳



「5月誕生会2」

ローストビーフとブイヤベース。
戦争したり、共同でコンコルドを開発したり仲がいいのか悪いのかよく分からないイギリスとフランスの代表的な料理である。福田ドクターが一度喰ってやみつきになったブイヤベースに対抗して、ナポレオンと対決したウエリントン将軍の対をはったわけではないだろうが、川村の兄ちゃんも、披露宴などでスライスした一片しか口にしたことのない、ビーフの塊「ローストビーフ」にトライする事となった。

「ローストビーフって言ったって、縛った牛肉に塩・コショー・ローズマリーなんかを擦り込んでオーブンに放り込めばできちゃうし、ブイヤベースはマルセイユであまった雑魚の処理に考え出されたフランス寄せ鍋だと思えばいいよー」とよけいなプレッシャーを与えないように適切なアドバイスを送ったつもりだったが、どうやらこの2人、又このおやじ適当な事言ってごまかそうと思っているなと邪知したようで、「いや基本的には、グレービーも添えてブイヤベースにはアイオリソースも作ってetc」とかなり入れ込んでいる御様子。

「わからなくなったら呼ぶから別の部屋で一杯やっていてちょーだい。」を鵜呑みにして、例の待機室BAR「居酒屋」でアペリチフとしゃれこもうと思ったのが大間違い。2〜3分事の呼び出しの嵐に見舞われる事になった。
福田ドクター「アイオリソースだけどマヨネーズと牛乳だったっけ生クリームだったけ?」
こういう質問が来たときはもう作っていて、味見した結果うまくなかったと相場が決まっているので「もう作っちゃったんでしょ?? マヨネーズとにんにくと生&サワークリーム!!失敗したソースはグラタンにでも使うからそのままでいいよ。」
福田ドクター「あのー間違っていると思ってもう捨てちゃったんだけど・・・・・。」
川村兄ちゃん「あのー肉から煙が出てきたんだけどどうしましょ?」
私 「温度は?」
川村兄ちゃん「なんですのそれ? あっ300℃になってますわ。」
と言うような騒ぎが3時間ほど続いた後、ようやく開会となった。作ってもらったんだか、自分で作ったんだかよくわからない料理であったが、それでも両者ともとても素敵なできばえで気持ちよく腹を満たしてくれた。ピーチパイもおいしくいただき、散会となったときには、正直普段の18倍くらいの疲れがどっと押し寄せてきて、ハルシオンのお世話にならなくても夢の世界に旅立てた。


「川村隊員のローストビーフ」

注意:写真はすべて国立極地研究所に属します。
個人で楽しむ以外(メディア等への掲載)は禁止します。



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