2000.5.16号 06:00配信


Home


第38次南極地域観測隊 ドームふじ観測拠点越冬隊

「食と生活の記録」より/by 西村淳



「久しぶりの誕生会」

5月に入った。 北海道ではまだちょっと肌寒いが、日中はさわやかな春の風が吹き抜けているはずである。ドーム基地はと言えば、日中の気温は最高でもー50℃くらいまでしか上がらずー20℃、30℃で震え上がっていたS16作業を思い出して、「そんな熱帯みたいな気温の時もあったんだ」なんてヨタをとばすほどここドームの住民は確実に厳冬期・耐寒・超低温仕様に変わりつつあった。寒い・暗い冬を前にした5月のある日、久方ぶりの誕生会が行われた。対象者はなんとこの私である。

隊員の誕生日はドームでは祝日である。休養日課となるわけだが誕生日にあたった隊員はその日は特別に自分の仕事以外の部門を記念に手伝うことになっていた。私がチョイスしたのは「本山隊員」の36本雪尺の測定のお手伝い。基地から少し離れた雪面にさしてある36本の竹竿の横にきざまれた、積雪度を測定する数字を一本ずつチェックしていく。薄暗い低温の雪面で、ヘッドライトの明かり一つをたよりに竹竿の数字を一本ずつ読んでいくのは、慣れていない身には「なんでこんなに36本も測定するんやブツブツ」思わずぼやきたくなるほど、つらい仕事である。

ともかく「誕生日記念ボランテイア」を終え温かい基地内へ。コンクウイスキーでのどをうるおしパーテイーの開催を待つことになった。誕生日に当たっている隊員は準備が出来るまで食堂への立ち入りは御法度である。サードシェフのドック、それに川村の兄ちゃんが「ローストビーフ」にトライし、平沢隊員がケーキを作ることになった。「まかせといてくんなばれ!!」臨時シェフ諸氏の威勢のいいたんかで部屋から出され、「本山隊員」と居住棟の前室に作られた店「居酒屋 盆」でアペリチフタイムとしゃれ込んだがまもなく基地内放送の呼び出しの嵐に見回れることになった。


「雪尺測定」

注意:写真はすべて国立極地研究所に属します。
個人で楽しむ以外(メディア等への掲載)は禁止します。



あなたのご意見やご感想を掲示板に書き込んでください。

indexbacknext掲示板


Home
(C) 1999 Webnews
ご意見・ご感想・お問い合わせは webmaster@webnews.gr.jp まで。