2001.3.6号 05:00配信


南極のドーム基地住人だった西村淳の
アドベンチャークッキング2
【気ままに語る食と人の話】

春の風が吹いてきた7


普段調子の良いときや、物事がうまく進行していくとき、誰しも、積極的に行動出来るだろう。もちろんこの世の凡人と呼称される人たちよりもはるか下のランクに登録されている私とて例外ではない。休日も原稿書きに没頭し、本業の海上保安業務もてきぱきとこなし、それはそれは充実した毎日を送っていた。出版社の「はたして南極の事を知りたい人が日本に何人・・・」のコメントが帰ってくるまでは・・・。

足下をすくわれるどころか、落とし穴に投げ落とされて上から土をかぶせられたような、ブルーな世界に落ち込んでしまった。今まで過ごしてきた人生の前例に見習えば、このまま酒に走り、二日酔いの朝のように「昨夜は何をしていたんだろう????」とつぶやきつつ「ドーム越冬期」も遠い世界に旅立ってしまったのだろうが、今回は、本人よりも頭に来ている怒り顔の「みゆきちゃん」を見ている内にメラメラと怒りの炎が胸の中で燃えさかってくるのが感じられた。

昼食に食したタラコスパゲテイのせいで、胸焼けでもしたのかと思ったが、水を飲んでもこの尺熱感は収まらず、「俺は今猛烈に怒っている!!」と気づくのにこの後数分を費やすことになった。

先に述べたように、バキュムーカー大作戦に走っても後でテレビに、バキュームカー男だとか糞尿ぶちまけ男と本名の前につけられてもいやなので、この作戦は中止とし、なにはともあれ「アドベンチャー〜」を絶対出版してやる!! と堅く心に誓った。武田鉄矢氏主演「刑事物語2」で、主人公が少年に「男は強くなれ! 強くなければ好きな人は遠くへ行ってしまうんだ!!」と怒鳴るせりふがあるが、これは今回あてはまらないのでちょっと脇にどけておいて、もう一つの決めぜりふ「たけし(確かこんな名前だった)人間、力を出したいときには怒れ!! 怒りは人間の力を2倍にも3倍にもしてくれるんだ」を採用することにした。

他の出版社から刊行→ベストセラー→最初のあの出版社から作品依頼のオファー→「うるせー!!お前の所とはつき合わねー」と怒鳴る→編集長が泣きながら謝りに来る。とここまでイメージングしてふと、別に最初の出版社も、自分の仕事をただ遂行しているだけではなんて仏心が頭を持ち上げてきたが、水戸黄門に印籠を提示する悪代官が必要なように、これから起こすアクションには、どうしても悪役が必要で、真面目な編集者には、温かい心を産まれる時にお腹に忘れてきた「冷血女」に。マニュアル通りに対応してくれた電話お姉ちゃんには金の価値が一つもわからない、男におごられたりプレゼントをもらうことを当たり前と考えている「あほ女」に変身してもらうことにした。


第38次南極観測隊  女性隊員

ペンギンの先生   「加藤 明子」さん


岩石 先生!  「鈴木 里子」さん


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