2000.8.8号 06:00配信


めっちゃ田舎のお菓子屋さんの独り言


by 高砂屋菓子舗の渡邊

◆この業界に、入って

さて、自衛官を6年やって退職していきなり実家に入ってもダメだということで旭川のお菓子屋に5年という契約で見習いに入りました。

しかし、キツかったですねえ・・・まず給料。自衛官の時の約3分の1になりました。それに就労時間・・・朝7時から始まって夜はいつ寮に帰られるかわからない。(そこの会社は、社員寮があったのです)まあ、自衛官を6年もやってる自分にとっては、この2つはキキました。サラリーマンやって、生産もしないで給料をもらえることに不思議を感じながらもそれにすっかり慣らされていたのですね。

見習に入った2年くらいは、まるでやる気なしで会社から「うちは、慈善事業じゃないんだよ。いつ帰ってもいいよ。」と言われてましたね。そんなある日、工場長が自分の考えたケーキを商品化してくれたのです。それが、いいきっかけになってやる気が出てきました。まあ、甘えてました。いろんな事に・・・
その頃から、お菓子を作るということが面白いと思うように、なってきたのかなあ。旭川のそのお菓子屋さんは、「手作り」ということにすごくこだわっていて自分もいつのまにか、その「手作り」という部分にこだわりを持つようになりました。

今の菓子業界は、わざわざ作らなくても出来合いの物が結構あります。たとえば、ガナッシュクリーム。これは、ご存知の方もいらっしゃいますがいわゆる生チョコレートのようなものです。これ、原料として問屋さんに売ってます。そういうものを使えば、ケーキを作るのに作業時間も減るし工程も楽になります。でも、そういう使わないで最初から作ることでオリジナル性が出てくる。味もさながら、見た目から違うケーキになります。当たり前といえば、当たり前のことなんですが・・・

今思うと本当に忙しかったなあ、あの頃ティラミスが流行った時に、自分はそのティラミスを作る担当だったんですね。それはそれは、すごい数が売れました。毎日800個作ってましたがあっという間に、売れてしまうのです。しかし、旭川のお菓子屋の中でティラミスを売り出したのは、遅かったのです。あまり流行を追わない店だったのですが、お客さんの要望が多かったせいかさすがの工場長も、ティラミスを売り出すことにしたらしいのです。

今も、そうなんですがそういうことを経てきて自分の思いの根底の中に「流行に流されない本物を作る」ということが根付いていたようです。


インデックス掲示板全国菓子工業組合連合会青年部




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