2001.12.22号 07:00配信


オホーツクの町村紹介

清里町

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ここは、webnewsで発行しているメールマガジン「週刊webnews」で特集したオホーツクの町村紹介を再収録したものです。「町村紹介」は、町外者の視点で見た町の紹介を基本コンセプトとして毎月第三水曜日の配信号に掲載しております。オホーツク管内には26の市町村がありますが、その中から町村のみをとりあげ毎月紹介します。


清里町(きよさとちょう)人口5,437人(H12年国勢調査)
清らかな里「清里町」かと思いきや、小清水と斜里から分村したので「清里」なのだそうです。オリンピックのスケート選手・岡崎朋美さんの出身地で有名ですね。でも、町の中のことはあまり知られていないのではないでしょうか。

◎きよさと町役場の公式ホームページ
http://www2.ohotuku26.or.jp/kiyosato/

真っ直ぐな道路
国道334号の通称「美斜線」を西四線で右折、釧網線の踏切を渡ると清里の町は突然あらわれた。町は、市街地を南北に貫く真直ぐな道を抱え込むように存在していた。この道は江鳶岳の麓までひたすらに続く長い一本道だ。とりあえず、肉眼で見えている向こうの端っこまで行くことにした。北海道にはこういった直線道路が結構あるが、まっすぐをまっすぐ走るのは心地よい。頭上には斜里岳が雄々しい姿を呈していた。


整列した防風林
一直線の道路はまだまだ続く。

町並を外れ、さらに江鳶岳の方向へと進む。左右には黄色く色付いたカラマツの防風林が現れた。畑を横切り何列も何列も行儀良く並ぶ様は見事であった。10キロも走ったであろうか、いちばん端っこまでたどり着いた。突き当たりの標識には「28号道路」とある。足下を見ると、快晴の空を見上げるように真っ黄っきのタンポポがけなげに咲いていた。


手を伸ばせば宇宙
28号道路から市街地方向に少し戻り、足を山の方に向けてみることにした。立派なオートキャンプ場がある。こじんまりとしながらも設備は上々。夏にはにぎわうのであろうか。少し登ると高台に「宇宙展望台」がある。360度見晴らしがよく、周囲には街路灯がない。夜になると降るほどの星に囲まれるここは、まさに名称通り“宇宙”である。取材に行ったこの日は、展望台を新しくするための工事中であった。古い方の展望台は、電信柱などの廃材を利用して作られたという。立派な展望台に化粧直しするのであろうが、素朴なこの展望台も惜しかった気がする。


散歩道
宇宙展望台の近くは散策に最適なところと見えて「散歩道」がある。ガードレールの支柱にペタッと貼られた靴底の標識には笑った。ここは眺めもよく、天気の良い時にゆっくりと歩いてみたいものである。きっと、静かで和む時を持つことができ満足するであろう。道を少し戻る。かたわらのサケマス孵化場も今はひっそりと冬ごもりの準備に入っていた。


ハーモニー
山の道から直線道路に再び戻り、今度は街へ行ってみよう。小学校のところから左に入るとモダンで素敵な建物がたくさん目に入る。武道館、福祉施設、公営住宅、それに街路灯。そのひとつひとつを見て歩くだけでも結構楽しめた。反対に古き懐かしい建物もまだ多く存在し、新しいものと古いものとの融合もおもしろく思った。また、緑も多く、青い空と白い雪をたたえた山々と、そして、人の息吹の聞こえる町並みとが微妙なハーモニーを生んでいる。それら全体を包む澄んだ空気が一番の宝物のように思えたのはちょっと寒さも増した気候のせいだっただろうか。


イモ焼酎の工場
清里といえば“イモ焼酎”があまりにも有名である。工場があるので行ってみることにした。さっきの直線道路を役場の方向に入り、少し行くとすぐ分かった。それは広い畑の中にすくっと建ち、さすがの存在感である。2階部分が入口になっている。階段を登り木製のドアを開け中に。一歩足を踏み入れると、ぷ〜んと甘い香りに満たされた。麹を作っているのだと思った。焼酎は飲まないわたしも、一瞬いい気分に浸ってしまった。工場は、正面の通路から歩きながら見学できるようになっているが、訪れたこの日は日曜日のため、生産ラインは動いていなかったのがとても残念であった。ここで生産した焼酎は、隣のレストハウスで購入できる。


緑ヶ丘公園
最後に訪れた緑ヶ丘公園。いつも最後はいいところに出逢う。静かでいい公園だった。入り口に流れる斜里川のせせらぎも良し、水面をすれすれに飛ぶ鳥あり、餌を捕る様子も魅力であった。そう思っていると、今度はつがいの鴨が突然飛び立ち驚かされた。園内は静閑そのもので、歩く度にカサコソ枯れ葉がやさしい音をたてる。これは、恋人達の足音ではないかと、遠い日を思いやったりもした。公園内にはたくさんの木々があり、リスのものであろう巣穴も見つけた。本当にだれもいないのが勿体なく思えたひとときであった。


神社
緑ヶ丘公園の入口には清里神社がある。折しも七五三の参拝の日であったが、午後も遅かったためか、子ども達の姿は見られなかった。代わりに、車の安全を祈る様子を見ることができ、こんなのも田舎の神社ならではかもしれないと思った。お祓いを受けるその真摯な姿に神様を大切にする心を感じ、また、町全体が斜里岳という神々しい山にいつもいつも見守られているこの町の人々の生活を思い、不思議とやさしい気持ちで、きよらかな里、清里町の取材を終えた。


おしまいに
今回紹介しきれなかった心残りは、清里町はなんと“裏摩周”があるということである。中標津方面に向けて走ると摩周湖を裏から望めるスポットがあるらしく、そこは霧も少なくまた趣の違った絶妙な景観を楽しめるらしい。またその近くには“神の子池”という、いかにも清里らしい池もあり、摩周湖から流れ出る水をたたえて青く澄むさまを、わたしはぜひ見たかった。オショロコマも生息するというその“神の子池”に行ける日を次回の楽しみにしたいと思っている。

◎清里町の写真はこちら
http://www.mediaservice-jp.com/webnews/01_1121kiyosato/1.html





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