2001.10.13号 07:00配信


オホーツクの町村紹介

遠軽町

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ここは、webnewsで発行しているメールマガジン「週刊webnews」で特集したオホーツクの町村紹介を再収録したものです。「町村紹介」は、町外者の視点で見た町の紹介を基本コンセプトとして毎月第三水曜日の配信号に掲載しております。オホーツク管内には26の市町村がありますが、その中から町村のみをとりあげ毎月紹介します。


遠軽町(えんがるちょう)人口18,735人(2001.4.30現在)
「ふれあいあふれる森の町」遠軽町におじゃましてきました。
http://www.ohotuku26.or.jp/organization/engaru/engaru.html


遠軽の町物語
遠軽町は人口約18000の遠軽地区七町村の中心的なマチ。JR石北線で遠軽に入ると、マチのシンボル巨大な「瞰望(がんぼう)岩」が左手に見え、思わず「おおおっ」と見入ってしまいます。瞰望岩からはマチが一望でき、晴れた日はとても気分いいですね。ただ、岩の頂上には柵がないので、気を付けましょう!

明治30年に山形県などから入植して「開基」。昭和9年に遠軽町となりました。名前は瞰望岩のアイヌ語「インガルシ」=見晴らしのよいところ、から転化し「えんがる」。「縁がある(えんがある)まち」とも言われることもユニークですね。ちなみに、堀達也道知事は遠軽出身。「縁がある」のだから、ぜひ来町してほしいですね。

もっとユニークなのが姉妹都市。昭和47年にブラジル・バストス市と姉妹都市提携を結んでいます。ただ、今では交流は無いようですが…。

でも、遠紋地区唯一の「地ビール」があります。酒好きのピカチュはとーってもうれしい。町内の瀬戸瀬温泉の温泉水を使ったビールもあって。まあ、一度いらしてみてはいかがでしょう?(遠軽方面支局長・ピカチュ)


完璧な町・遠軽町
遠軽といえば、まず誰もが思い出すのは「瞰望岩」。町の観光スポットでありながら、高所恐怖症でなくてもあの崖をじっと見あげるだけでなんだか怖くなる。その崖のふもとに広がる人口約1万8千人の町、遠軽をよく見ると、そこには大きな病院があり、自衛隊もある。ここの生協は道東の本部でもある。自動車学校もあれば郊外には大型店がずらっと並ぶ。札幌までたった3時間半で行くことのできる特急の止まる駅もある。北見、紋別、旭川、網走そのどこへでも難なくいける距離に位置する。さらに、ちょっと走れば川あり、キャンプ場あり、スキー場あり、温泉あり、海があり・・・なんと完璧な町であろう。考えてみるとこれだけ揃った町も珍しいのではないだろうか。


ワンダー地区・瀬戸瀬(せとせ)
この完璧さの町に嫉妬すら覚え始め瀬戸瀬へ向かう。ここなら何もないさびれた町だろうとたかをくくって車を走らせる。瀬戸瀬は、隣町丸瀬布町に一番近い地区だ。小さな商店がちょっと並び、もう使われていない古い消防団の建物が哀愁を誘う。閉鎖したような木工場の建物も見える。新しい大きな建物が並ぶ遠軽とは違い、ここは何年もの間忘れられたかのようなそんな場所のようだった。しかし、この瀬戸瀬地区にどんどんのめりこんでしまった。


雑巾モップの髪の毛
瀬戸瀬といえば、温泉。国道から9キロも山奥にある。秘湯と言われつつも、全国から温泉ファンが集まってくる。その温泉目指して車を走らせた。「9キロ」というが、はじめて走る道路はなかなかたどり着かない。あまりの山奥に、途中で何度も引き返そうとしているそのうちに、道路わきに、おいでおいでと手を振る物体に遭遇する。
ぎょっとして車を止める。人もいるかもしれない。こんな山奥に、ぽつんとログハウスが立っていて、その脇においでおいでの丸太で作った人形が立っていた。雑巾モップのちりちり髪をつけ、ちゃんと目も鼻もある。話を聞こうと思ったが、残念なことにここの家主は不在のようだ。この丸太の人形、いいなあと思いつつ、すっかりそれに満足して温泉は止め、そこから引き返した。


どんぐり
国道から瀬戸瀬温泉の入り口にある瀬戸瀬小学校。ここの小学校すぐ横には、小さいけど立派な神社がある。学校の体育館からは、ドンドンと和太鼓の練習の音がする。すると、ふっと、タイムスリップに陥ってしまった。
日本映画で小学生が下校途中に神社の境内の石段に座り込んであれこれ話をするシーンが目に浮かんできた。ここでめんこをしていても、何の違和感もない。鼻をたらし、ほっぺの真っ赤な子供がここにいても何の不思議もない。うっそうと茂る神社の林はなんとも落ちつき暖かい。足元を見ると、どんぐりの芽がいっぱい出ている。まるでたくさんの子供がそこにいるようだった。時間がゆっくり通り過ぎ、心地よい風がおいしい。すっかりここの世界にとりつかれてしまった。


怪しい三老婆とたどり着けない場所
次に向かったのは「発電所」。
国道を走っていて目に付いた、発電所入り口という看板。この奥に発電所があるのか? 水力、それとも風力?もしかして火力かな?突然、大型風車が現れたらすごいな。ダムがあるのかな。それとも白いターバンを巻いたアラブ人らしき人が石油を燃やしているのか?興味津々である。

その道へ迷わず曲がる。
すると、なにやら人影。畑の中を一輪車のようなものを押して歩き回る老婆3人。ムム、怪しい。何で3人も?姉妹なのか、近所の人たちなのか?その姿に興味を抱きつつ「移民」と書かれた踏切を渡る。いったいここは?

道沿いに走ると岩だらけの道。ガツンとクルマの底にぶつかる音。壊れるーと思いつつ走ること数分、道が分かれた。どっちだ?わからないまま右に進む。また道が分かれる。どっちだろう?また右へ。またまた道が分かれる。どっちだ?

白いターバン姿のアラブ人の仕業かどうか知らないが、発電所にはどうやってもたどり着かなかった。

道と言ってもクルマ一台やっと通れるくらいの林道。真ん中あたりには角のとがった大きめの石がごろごろしていてクルマの底をこする。瀬戸瀬の国道から1〜2キロ入った山の中だが、ここにも昔、人がたくさん住んでいたらしい。開拓に入った人たちが暮らしていた家が、草に覆われた状態であちこちにたくさんあった。

その中で一軒。レンガの煙突の家に目が止まった。壁は白。柱は黒。赤い屋根。古い家でありながらドイツの民家のようなただずまいだ。家主の話を聞きたくなりカーテンの引かれた玄関をガラガラと開けたが誰もいない。廃屋かな?でも、靴は置いてある。家の周囲はきれいに草が刈られていた。白樺林に囲まれた川の流れの聞こえる静かすぎる場所。
いいなあ、いいなあ、なんていいところだろう。もしここが廃屋だったら、住んでみようかななんて、ちょっと思ったりもした。


マーガレットの駅員
瀬戸瀬には駅もある。あや、意外!小さな町でありながら、白滝まで行き乗り換えれば、札幌という大都会へも簡単にいける。おお、なんてすごいところだろう。さっきの三姉妹の老婆も札幌から通っているのかもしれない(それはないか・・)。無人駅であるけれど、トイレもきれい。駅のホームにはマーガレットが咲き乱れ通り過ぎる特急に体を揺らして見送ってくれる。ますます、ここに住んでみたくなった。

瀬戸瀬は、町の開発から忘れられた地区でありながら、何一つ不自由しないのんびりとしたワンダー地区であった。10年20年前のカレンダーがずっと家に貼ってあっても不思議のない、なんだか時間の流れが止まっているままの世界のようだった。それがまたいい。それだからいいのだ。ここは秘湯地ではなく、誰も開発に入ってほしくない。ずっとこのままでいてほしい心の故郷のような、そんな場所に思えた。


◎遠軽町と瀬戸瀬の写真はこちら
http://www.webnews.gr.jp/webnews/01_0620engaru1.html




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