2002.12.25号 06:00配信


「肺炎球菌ワクチン」をご存じですか
最近時々テレビ報道で取り上げられてます




「肺炎球菌ワクチン」をご存じですか。

日本ではあまり普及していませんが最近時々TVで取り上げられていて、何人もの方から「TVを見るまで聞いたことがなかった。」「知らなかった。」と言われその上「少し詳しく教えて欲しい。」と質問を受けましたので、今回取り上げることにしました。
この「肺炎球菌ワクチン」とは文字通り、肺炎球菌による肺炎を予防するワクチンで、全ての肺炎を予防するワクチンではありません。申しわけありませんが私自身も全てのテレビ報道を見たわけではないのですが、テレビを見た方の一部や、見た方から聞かれた方に全ての肺炎を防ぐ魔法のワクチンと勘違いされている方がいらっしゃいましたのでお間違いのないようにお願いいたします。
しかし一般に肺炎を起こす細菌・ウィルスのうち実際肺炎球菌が原因と思われるものが全体の40〜50%を占めていて、この肺炎球菌が原因の肺炎を予防することはとても効果のあることなのです。特に御高齢者の方においてインフルエンザワクチンと併用すると、大変効果が認められています。
この情報は65才以上で普及率50%を越えているアメリカのデータです、残念ながら日本での普及率はこのワクチンが接種できるようになって10年以上たっているのですが0.1%にも届かないくらいとても低くて統計情報が私の知る限りほとんどありません。
このアメリカのデータでは65才以上でインフルエンザワクチン普及率が90%以上、肺炎球菌ワクチン普及率が50%以上の結果より出たものですが、インフルエンザに罹った後に肺炎を起こして入院するリスクがワクチンを接種しなかった人に比べてインフルエンザワクチンだけの人でも40%以上減少し両方併用の人は60%を越える減少を認め、さらに死亡する危険性は、インフルエンザワクチンだけでも60%以上減少し併用すると80%以上減少させました。日本でもインフルエンザおよびその後の肺炎による高齢者の入院そして死亡率は若年者に比べて著しく高く、まだまだ低いインフルエンザのワクチン普及率をあげることがまだまだ重要ですが、最近やっと普及率も向上し始め、高齢者のインフルエンザワクチン接種者のさらなる予防としてTVで取り上げ始められたものと思います。私としてはインフルエンザワクチンがまだの人は早めにまずインフルエンザワクチンを接種することをおすすめいたします。
さらに肺炎球菌ワクチンは毎年接種する必要のあるインフルエンザワクチンと違い1回接種すると約5年間有効なのです。
ただし、ここで不思議なことがありまして、有効期間が5年間なのに5年たっても1回接種した人は2回目をすることが、日本ではできないのです。アメリカでは65才以下に1回接種した人には、65才以上で再接種を奨励しているという報告もあるのにです。
いまこの点について調べていますのでわかり次第後日改めてご報告いたします。
特に「肺炎球菌ワクチン」をおすすめしているのは
  65才以上の高齢者
  心臓や呼吸器に慢性の疾患のある方
  糖尿病や腎不全や肝機能障害のある方
  脾臓を摘出した方(この方のみ保健適応になります)
の方々です。
ただし2才未満の方には接種できません。
尚このワクチンの具体的な接種に関しては、日頃からの掛かり付けのお医者さんにお問い合せ下さい。

予防に努めることは治療に勝り、早期発見・早期治療開始は慢性化や重症化の予報につながります。ワクチンは科学的にも立証されたすぐれた感染予防法で重症化予防にもすぐれています。
肺炎は体力の低下した高齢者にとっては大敵です。ワクチンだけでなく日頃から、以下のことに注意し肺炎を予防しましょう。
外出後は手洗いやうがいを行う。
天気のよい日には散歩するなど適度な運動と日光浴を行う。
室内の乾燥しすぎに注意し水分を十分にとる。
入浴などで身体の清潔を保つ。

ただし、以上のことを守っても(ワクチンを接種しても)100%防げるわけではありませんので、少しでも異常を感じたら早めに医療機関に受診して下さい。

最後に2002−2003のインフルエンザは昨シーズンより、流行しそうです、気をつけてください。

白熊でした。


インデックス掲示板




Home
(C) 2002 webnews
ご意見・ご感想・お問い合わせはwebmaster@webnews.gr.jpまで