2001.8.6号 07:00配信


熱中症対策 その2(夏季スポーツその1)




 今日は白熊です。

もう既に夏休みでの夏季合宿(トレーニング)に入っている方々もおられると思
います。北海道は今年は例年になくとても涼しい(寒い)夏が続いており、雨が
多いが熱中症の発生は多くないと思いますが、全国大会等の参加で本州で合宿を
予定していたり、体育館を本州なみに対応させている場合は十分に熱中症をはじ
め体調管理に注意してください。 

1 熱中症予防のための運動指針

熱中症では予防が大切です。
暑いときには熱中症の兆候に注意し、おかしいときはには早めに休むことが必要
です。日本体育協会スポーツ科学研究所は試合・練習の環境温度により熱中症予
防のための運動指針の利用を勧めています。

環境温度の指標としては湿球黒球温度(WBGT)が有用です。これは気温・湿
度・輻射熱を考慮していて湿球温度・黒球温度・乾球温度により計算されます。
ただすべての場所にてWBGT計が準備出来るとは限らないのでその場合は、湿
球温度と乾球温度または、乾球温度のみでも温度を測定することは重要です。

下記の表はWBGT計による運動指針ですが参考までにWBGTに対応する湿球
温度・乾球温度を併記しました。(乾球温度のみを用いる場合は湿度が高ければ
1ランク厳しい環境条件が必要。湿球温度を用いる場合は気温が高いと過小評価
される場合もあり、必ず乾球温度を参考にすること)

┌────┬────┬────┬───────────────────┐
│WBGT│乾球温度│湿球温度│    運動指針           │
├────┼────┼────┼───────────────────┤
│31度 │35度 │27度 │ 運動は原則中止           │
│ 以上 │ 以上 │ 以上 │ 皮膚温より気温が高くなるので    │
├────┼────┼────┼───────────────────┤
│28度〜│31度〜│24度〜│厳重警戒:激しい運動・持久走などは中止│
│ 31度│ 35度│ 27度│   熱中症の危険が高い。      │
│    │    │    │運動する場合は積極的に休息をとり、水分│
│    │    │    │補給を行う。ただし体力の低いもの・暑さ│
│    │    │    │に慣れていないものは運動中止。    │
├────┼────┼────┼───────────────────┤
│25度〜│28度〜│21度〜│ 警戒:積極的に休息をとる      │
│ 28度│ 31度│ 24度│  熱中症の危険が増す。       │
│    │    │    │積極的に休息をとり、水分補給を行う。 │
│    │    │    │激しい運動なら30分おきに休息をとる。│
├────┼────┼────┼───────────────────┤
│21度〜│24度〜│24度〜│厳重注意:積極的に水分補給      │
│ 25度│ 28度│ 18度│このレベルでも、熱中症の死亡事故発生の│
│    │    │    │可能性がある。熱中症の兆候に注意し、休│
│    │    │    │息時間に積極的に水分補給する。    │
├────┼────┼────┼───────────────────┤
│21度 │24度 │18度 │ 注意:適宜水分補給         │
│ 未満 │ 未満 │ 未満 │通常は熱中症の危険は小さいが、適宜水分│
│    │    │    │補給は必要である。ただし市民マラソン等│
│    │    │    │ではこの条件下でも熱中症が発生すること│
│    │    │    │があるので注意すること。       │
└────┴────┴────┴───────────────────┘
WBGTの計算式

屋外:WBGT=0.7*湿球温度+0.2*黒球温度+0.1*乾球温度

屋内:WBGT=0.7*湿球温度+0.3*黒球温度

この指標を基に大会運営の主催者の対応の実例(サッカージュニア夏季大会)で
熱中症発生の低下に効果があった(あくまで発症の低下で完全防止ではない)
    
┌────┬─────────────────────────────┐
│WBGT│原則試合中止、但し日程上中止できない場合は試合を朝夕に移し│
│31〜 │競技時間の短縮・ハーフタイムの延長・選手交代制限の緩和  │
│ 原則 │延長戦の中止・意図的に水分摂取する時間帯の設定      │
│試合中止│各チームに対しても試合中を含め頻繁に水分補給を促す    │
│    │試合前後の十分な休息をとる・低体力者・体調不良者の出場停止│
├────┼─────────────────────────────┤
│28〜 │日中を避け朝夕に移す。                  │
│    │競技時間の短縮・ハーフタイムの延長・選手交代制限の緩和  │
│    │連戦での延長戦の中止・意図的に水分摂取する時間帯の設定  │
│厳重警戒│各チームに対しても試合中を含め15分毎頻繁に水分補給を促す│
│    │試合前後の十分な休息・低体力者・体調不良者の出場は厳重注意│
├────┼─────────────────────────────┤
│25〜 │競技時間の短縮・ハーフタイムの延長・選手交代制限の緩和  │
│    │連戦での延長戦の中止・意図的に水分摂取する時間帯の設定  │
│ 警戒 │各チームに対しても試合中を含め15分毎および試合前後と  │
│    │ハーフタイムの十分な水分補給を促す・試合前後の十分な休息 │
├────┼─────────────────────────────┤
│21〜 │ハーフタイムの延長・連戦での延長戦の中止         │
│厳重注意│各チームに対しても十分な水分補給と十分な休息を促す    │
├────┼─────────────────────────────┤
│〜21 │各チームへ適宜水分補給の徹底の指示             │
└────┴─────────────────────────────┘
次回はまた、次のステップの熱中症についてです。
では。
白熊でした。
皆様の、ご意見をお待ちしています。
sirokuma@webnews.gr.jp


インデックス掲示板




Home
(C) 2001 webnews
ご意見・ご感想・お問い合わせはwebmaster@webnews.gr.jpまで