2005.11.1号 12:00配信




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音楽屋♪(コラム)

2005/11/ 1(火)― こま ―

10月29日 PIANO DE DUO 5 小原 孝&佐山雅弘 / 北広島市芸術文化花ホール

待ちに待った10月29日。7月にチケットの予約をしてから3ヶ月。
久々の佐山プレイが見て聴けるんだ。楽しみで腹も空かない。笑
それにしてもこの会場、なまら立派。ピアノが二台もあるんだから
しみったれた会館じゃない事は確だ。どんなホールなんだろう…。
かなりドキドキ。私の知らない佐山さんがいるのだろうなぁ…
佐山さんのジャズやブルース、フュージョンは知ってるけど、クラシックは初めて。
いろんな佐山さんを聞いて、いつか佐呂間でソロライブをやってみたいなんて考えていたので
今回のこのコンサートは外せなかった。

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北広島市芸術文化ホール(花ホール)は、駅から出てすぐ目の前。
雨上がりのせいか、花の香りがふんわりと漂う街だった。なんという歓迎…。気持ち良い。
開場まで1時間半もあったので、空いてない腹に何か入れるべと
近くにあったマクドナルドに入る。
ほんとはね、札幌についたらラーメン博覧会でも行ってラーメン食べよっかな
なんて思ってたんだけど、ホテルにチェックインして部屋で「マッサージチェア」に座ったら
なまら気持ちよくって…。
時計を見たら中途半端な時間だったから北広島へ行けば何か食えるべと
快速エアポートに乗り二つ目の駅「北広島駅」で下りた。

北広島…そうそう、チケットを予約する時、電話でしたんだけど
「北広島市で行われる…」と伝えたら
「広島県」と勘違いされ「そんなコンサートは無い」と言われて
「北海道の北広島市です」って言ったら焦ってたな…(爆)

マクドナルドには、部活の帰りの高校生が賑やかに談笑していて
うるさいんだか、おもしろいんだか不思議な気持ち。
同じ年頃の子供を持つ母親としては、めんこいなぁ〜と思うけど
イチお客さんとしてはちょっとね。ふふふ。

おっと!帰りの汽車の時間を調べるのを忘れた…。
再び駅に戻り、帰りの時間をチェック。ついでにチケットも購入。
コレで準備よし。

会場へ入ると、すでに開場待ちのお客様。貴賓のあるご夫人ばかり。
美しく大きな花束を抱えた一人のご婦人が特に目に入った。
…彼女はどちらのファンなのだろう?気になる。
(後のサイン会で小原さんに渡していたのを目撃…納得)

時間がゆ〜っくりと流れていく。
ホールはしっかりと閉められ、中ではボランティアのスタッフが
細かな作業を進めている。
がんばってるなぁ〜。えらいなぁ〜。自分の仲間たちを思い出す。

やがて開場…。ホールの入り口をくぐった瞬間、ハトに豆鉄砲。

見上げてしまうほどの高い天上。美しいな照明。奥行きのあるステージ。
高級感漂う目に優しい柔らかな橙色の配色。ギャラリーもあり、とにかく広い!!
アホ面で立ち止まっていたらスタッフの方に
「お席はお分かりですか?」と訊ねられてしまった…(汗

階段をひたすら下りて、指定席へ。
重なり向き合っている2台のピアノを念入りに調律している調律師を見つめる。
ピアノはデカイ。これまで見て来たグランドピアノより長い。
しかもピカピカ光ってるぅ〜〜〜〜ぅすげぇ〜〜〜ぇ
視力の弱い目で必死にピアノの名前を読む。
「す…たん…スタンウェイ!!」
かの有名な輸入品のスタンウェイだっ!!テレビや雑誌でしか見た事無い!
黒光りしてるぅ〜〜〜〜ぅすごぉ〜〜い。顔も写ってしまうほどビガビガ!
もう一台は…「TAHA…?」なんだろう「たは…って」
よぉ〜く目を凝らしてみると「YAMAHA」と書いてある。
…ヤマハじゃん。けど、YAMAHAのグランドピアノにもいろいろある
なんとか5とか9とか…。分からんわ…。
けど、スタンウェイには負けるけどイイグランドピアノには間違いない!!

ごめんね佐山さん。こっちでは公民館にある小さなヤマハの「なんちゃら5」で…。
しかも鳴り悪いし、響も比べると…あぁぁうぅぅぅ…。
もう佐山さんに「来て下さい」なんて言えないわ…(;_・)言うけど…。

次第に500席以上あるイスが埋まり、満員御礼。超驚。

前セツが優しく流れる。
開演のブザーが鳴る。
なまら緊張。

そして、小原孝&佐山雅弘が登場。顔の筋肉が緩んだ。

ピアノ格闘技。始まり始まり〜♪

と言っても、始まりはクラシック。ヤマハに佐山さん。スタンウェイに小原さん。
佐山さんの顔は拝見できるが、指先が見えず。小原さんの妖しくもしなやかな身の動きに釘付け。
手足がリズムになり、全身が自然に柔らかく動く。力が抜けているカンジ。
小原さんて、こんな風に弾くんだぁ。
それに引き換え、佐山さんはどっしりと背中を丸め座り、楽譜に喰い付くように
お得意の鍵盤マジックのような動きと少々腰を浮かすだけ。
そしてノリ方は、小原さんは横揺れに対し、佐山さんは前後揺れである。対照的だ…。

対決らしき様子は無く、佐山プレイはクラシカルに美しい。まだ本領を発揮してないな…。
楽譜とにらめっこしているかと思えば、小原さんとアイコンタクト。

ちょっと緊張気味?そんなこたぁ〜ないだろう。私のほうが緊張していた。

演奏曲(クラシック)
RITUAL FIRE DANCE
SCARAMOUCHE

MC(トーク)は小原さんの滑らかなおしゃべりで始まった。
小柄で細い小原さんは、私より年上に見えなほど若い!!泳いでるせいかな?
水泳が好きなようで毎日泳いでらっさいます。スイマーピアニストを目指しているそうです。
語りは軽快で雰囲気柔らかく軽やか。こりゃご婦人に人気な訳だ…。
そうそう、ラジオ番組を持っているからトークは上手な筈ね「弾き語りフォーユー」って番組。

対する佐山さん…おーい!佐山さん、トークしておくれよぉ。

「佐山雅弘です」(笑)

しゃべりだすと止まらないのね。佐山さん。上がってるなんてウソ。
メチャクチャ楽しんでいる様子。そんな様子が元気そうで嬉しい。

連弾について説明。
一般的には気の合った同士、美しいピアニスト姉妹がよく演奏するモノで
息が合わないといけないのだけど、ほとんど練習していないので…と、不安げにも企みのある様子。
いたずらっ子のようにニヤニヤしている…。なんだなんだ?
そして、佐山さんは女性と連弾の練習をしていたらしく、小原さんと練習していると
妙に寄って来るそうで、気が付くと小原さんが避けている…と言う。
ウソかホントか分からぬ愉快なトークでお客さんを和ませ
「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」を連弾。

残念、鍵盤を弾く4つの手が見えない。
音を聴きながら、どっちがどの音を弾いているのか耳を澄ます。
目では二人のやりとりを拝見する。
時折、ピアノの天板に映る手を見る。(前列に座るとこんな部分まで見えちゃうのね。)

たしかに…。やはり佐山さんが小原さんに寄っていく。
只弾くだけの佐山さんに寄られ
譜面をめくり、べダルを操作しながら避けて困ってる顔の小原さん。
まるでピアノ演奏の漫談を見ているようだ。
って、見た事無いけど。(笑)
何を思ったのか、連弾してるはずの佐山さんの右手が小原さんの肩を…。
すかさず払いのけ、やめなさい!と目を配る小原さん。大爆笑。
そんな余裕ありげな連弾は、ほんとはちょっと大変だった事を後で知る。
良く耳にする「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」は
お二人の連弾で、更に楽しく分かりやすく愉快だった。

きっと、成功だったんだろう。笑顔で佐山さんが去る。
小原さんのソロ。小原さんのソロは初めてなのでワクワク。

まずは「リベルタンゴ」小原さんの音色は細くて美しくなめらか。でも力強い。
「ハナミズキ・水戸黄門の曲・涙そうそう・川の流れのように」
そして「世界で一つの花」
「川の流れのように」では、感動で目が潤むほどの演奏。
聴くだけではなく、演奏を見ることによって起こる感情の高ぶりが気持ちよかった。
「ジャンルにこだわらず、好きな曲を弾いていきたい」と言う言葉が好感的だった。

休憩…
ピアノの位置が変わる。
演奏者が二人並んで後ろ向きになるような配列。
少々放射状に傾いている。
どこからでも、弾く手が見える位置。
またまた念入りな調律。ブザーが鳴るまで音を確かめる調律師。

休憩後、佐山さんのソロから。
なんとスタンウェイで「リンゴ追分」ジャズアレンジ。
響の強いスタンウェイでの演奏。聴きたかったから嬉しい。
そして「ゴールドベルグ変奏曲」から「アリア」
いつもCDで聴いていた「アリア」
目を閉じ演奏してる佐山さんを想像しながら聴いていた。
その「想像する姿」をこの目で見る。
後姿の佐山さん。カッコいい。振り向かなければ…(失敬)
魂の入った演奏。「アリア」の次の「バリエーション1」も続けて聴きたくなるほどの意気込み。
止めないで!そう叫びたいほどだったけど、仕方ないね。うん。
佐山さんのソロは2曲でオシマイ。残念。もっと聴きたかったけど、本日の目玉がある!

ビートルズメドレー。
佐山さんはスタンウェイ。小原さんはヤマハ。

これはね〜聴かなくちゃ感動伝わりません。ほんとに素晴らしかった。
ビートルズの「THE LONG AND WINDING ROAD」をベースに
年代順に演奏されたメドレーは、ひどく感動。
かわりばんこにソロを演奏。これが対決。
小原さんが弾けば、佐山さんはピアノから離れ、やんちゃボーズのように動きまわり笑いを取る。
佐山さんが弾けば、やはりピアノから離れ、リズムに乗って踊り出す。カワイイ〜♪
そんな小原さんが手拍子を促す。ありがとう。促してくれないと誰も手拍子しなかった。
そんな演出もありながらの楽しくも感動のメドレー。
ビートルズファンには、たまらない時間だったはず。
そして、曲ごとに演出された演奏が続き、熱く興奮。
佐山&小原お二人も、白熱した様子でこれこそピアノ対決。
お二人の高揚した表情は秋の紅葉と同じように洸に紅色。
惜しみない拍手の中、去るお二人。

アンコールは「見上げてごらん夜空の星を」

佐山さんの促しで、会場は合唱。ホールの空間が一つになった瞬間。

いいねぇ。こういうコンサート。素晴らしい。
聞くと、PIANO DE DUO 5回目だが、北海道上陸は初らしい。
北海道にもこんなコンサート好きな人いっぱいいると思う。
どうか来年も来て欲しい。
それには…グランドピアノ2台を調達できる、ホールでなければね。

わが町では絶望的であるな。

こうして、待ちに待ったコンサートは幕を閉じた。
余りにも素晴らしい体験だったので、自分のやっていることが
ちっぽけに感じてしまった…。夢は高らかに持っているけど、実現は…。

ま。所詮そんなものなのかも知れない。良いではないか。高望みしなくても…。
出来る範囲で楽しめばよい。こうして出向けば楽しめる場所有り。
それでよいのだ。
ピアノ対決。行ってきて良かった。



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