webnews/音楽屋/コラム

2004.8.30号 10:00配信

■音楽屋♪（コラム）

2004/8/30（月）―　こま　―

～雨に濡れたライオンキング～

ある一人のチェロを弾く青年がこう言っていた。
「雨に濡れたライオンキング」のようだと。

演奏に熱が入り、長い髪が少し乱れた時、吉川さんの長髪は、雨に濡れたようになりその姿は雄々しいライオンのようになった。

まさに、雨に濡れたライオンキング。

黒い長髪と黒い衣装に身を包んだチェリストは柔らかい笑顔でステージに立ち、身の丈と同じくらいのチェロを抱いた。座らず、立ったままで。

弦を鳴らし、それを左足で黒い箱（ハードディスク）を通して記憶させ生演奏と合わせて音を出す。

こうして多重演奏となり、観客にとって不思議な光景となる。

しかし、その不思議な光景がいつしか驚きと感動に変わりどんどん音色に音楽に引き込まれていく。曲が終った後の拍手の強さと長さが、一曲一曲変化して行くのが分る。掛け声こそは無かったが、みな、きっと「ブラボー」と叫びたかったはず。

恥ずかしがり屋な田舎の聴衆なのだ。

でも、ステージが終った後は涙して座ったまま動けない人、立ち上がって感動を口々にする人、様々で…。

素敵な夜を、こうして作り上げる事が出来て本当に良かった。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

さて…ここで一つ。書いておきたい事がある。

今回のこの企画は、北見市の大西さまから頂いた依頼で当初私は迷った。
「私の知らない演奏者のライブを企画して、果たして皆付いて来てくれるか？」
「やりたいモノしかやらないと、公言している私が、未知のものに手を出してよいのか？」
そう思う一方、音楽屋は、みんなの音楽屋になっている。私の独断で決めてはいけない。相談すべきだ。

こうして、仲間たちと話し合った。
「どうしよう…」と迷った私に
アトリエのママとマスターに相談しようと言う事になりアトリエへ話しに行った。
説明後、開口一番。
「やろう」と言ってくれたのは、アトリエのマスターだった。
ママも「やりましょう」って。

こうしてこの企画は決まった。
そして、活動の中心はアトリエとなった。

しかし、ある日耳を疑う情報が入った。ママが頭にデキモノが出来ちゃって、手術のために入院しなくちゃいけなくなった。ママが入院？手術？大丈夫なの？ライブは…？
不安と混乱するのを抑え、整理して万が一の場合は、会場を変更すべきだと覚悟を決めアトリエに行った。

いつもの笑顔のママが居た。そしていつもの調子で「入院するのさー」と話を始め私が口を開く間もなく「ライブはうちのがやるから、安心して」と…。

参った。自分の事より、ライブの事心配してるなんて…。
頭が下がった。

こうしてママは入院し、私達はママの分まで宣伝頑張らなくちゃ！って思った。

ママのためにも、頑張らなくちゃ！

ママの手術は、ライブ開催前に無事終りライブ前後は、心配して電話をくれてた。マスターは病院へ行ったり、打ち合わせに参加してくれたり忙しいのに私達の面倒をちゃんと見てくれた。

ライブ当日は、ママのお友達がお手伝いに来てくれてとっても助かった。

お客さんも楽しみにしていっぱい来てくださった。

こうして、ライブは成功した。

何て言うか…オーくんが「次をお楽しみに！」と言ってくれた言葉は今回、ライブに携わってくれたすべての人々の気持ちだと私は思う。

続けよう。「星に願いを」して。
また、力合わせて次を叶えよう。

吉川さん、どうもありがとう！

｜音楽屋インデックス｜音楽屋の掲示板｜webnewsトップ｜

Home
(C) 2004 webnews
ご意見・ご感想・お問い合わせはwebmaster@webnews.gr.jpまで