2000.8.15号 08:00配信


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第38次南極地域観測隊 ドームふじ観測拠点越冬隊
「食と生活の記録」より/by 西村淳


「夏休み番外編」

「稚内のオヤジが現れた2」

とにかくこの長縄氏、本業は外事取締官、国際捜査官、海上保安官、ロシア語通訳官と多種な超カタギの職種に携わっているが、この時は夏期休暇記念とかで、なぜか頭を金髪に脱色していた。翌日帰るときには、「元に戻らな−い」と泣くことになるのだが、それは本人の勝手なので知りません。

彼とは一回目の南極帰り記念シャブシャブパーテイー以来でかれこれ12年になる。初期はまったくの下戸で、宴会の度に便器を抱えてのたうち回っていた。一度ER送りになったことがあり、深夜でもあったので、私が付き添いで付いていった。タクシーの中で、「うっ吐きそうだ・・・こみ上げてきた・・もうだめだ」の連呼に運転手がすっかりびびり「お客さん出そうになったら言ってくださいよ!!お願いしますよ!!ほんと危ないんだから・・・」と前をほとんど見ないで運転している危なさは無視して、声を震わせていた。

深夜の救急救命室でのドクターと彼との会話・・・。

「とにかくポカリスゥエットをどんどんとって、水分補給しなさい。」息もたえだえの長縄氏曰く
「ポカリは好きじゃないんでーす」
「・・・・何好き嫌い言ってるの!!!とにかくお茶でも何でもいいんだから!!ほんとに!!」

深夜の思わぬ漫才に不逞心ではあったが吹き出した。とにかくその彼もすっかりアルコールに強くなり、この頃はうまそうにビールをぐいぐい飲んでいる。

長縄一家とは1年に1回、キャンプで逢うことになっているが、今年は暇がないのであちらから出かけてきた。楽しい一夜を過ごしたのだが、彼とのキャンプのテーマは「すっきりとしたサイトづくり」がこの数年間の課題になっている。キャンピングカーを始め、私達が設営するキャンプサイトは最新のキャンピンググッズがずらりと並ぶのだが、どうも他のグループとたたずまいが違うことにある日気がついた。

みんながみんな好きな物を食って、飲んで道具を出すので、アウトドア雑誌の表紙を飾ってもいいような他のグループに比べ、段ボールがドカンドカンと積まれ、ツーバーナーが最低でも2〜3台は並び、ランプがターフの周りに7〜8個煌々と点灯している様子は、よく言ってサーカスのテント、普通に言って災害の避難所にしか見えない。たまにはシンプルかつすっきりとした空間でチーズとベーグルでもつまみながらワイン等を傾けてみたい気もするが、多分そんな風景は一生見られないだろう。

まあいいか・・・。
そんなわけで、原稿が遅れた。
嘘ではない・・・ほんとに・・・。


テーマは、すっきりしたサイトづくり



遊びで埋めたら死にそうに・・・・

注意:写真はすべて国立極地研究所に属します。
個人で楽しむ以外(メディア等への掲載)は禁止します。



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