2000.5.24号 06:00配信


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第38次南極地域観測隊 ドームふじ観測拠点越冬隊

「食と生活の記録」より/by 西村淳



「ミッドウインター1」

ついに6月に突入した。南極では越冬の半ばに達した事になる。日本でも一年の中間だから同じ事か・・・。

6月と言えば「北海道」ではやや遅い花見や運動会等が開かれ、風もさわやかな初夏であるが、南半球では反対の真冬である。ここでは6月の終わり頃になんと「冬至」を盛大に祝う。名付けて「ミッドウインター」。これは日本隊ばかりでなく、越冬している世界中の越冬隊で同時に祝われる。各国の越冬隊通しで電報の交換が行われ、長く続く南極の暗夜を派手に祝う。前回の昭和基地では、3日間ぶっ通しで挙行され「フランス料理のフルコース」「和食大宴会」「屋台村」等で楽しんだ。

前回の事を思い出してみると毎日、毎日が初体験の連続でようやくの折り返し点で心底ほっとした。今まではどんどん日本から離れていたのに、マラソンの折り返し点を過ぎたというか、物理的には距離が変わっているわけではないのに、これからは日毎に日本が近づいてくるような「さあがんばんべー!」と体にアドレナリンがどんどんみなぎってくるのを感じることができた。

さてドームではどうするか・・・・。

「ミッドウインター」を過去に経験している者が中心になって、プランを練ることになった。みんなの心にいつまでも残るような感動的なイベントになるように考えたのか・・・そんなことはない、あるはずがない。世話好きで、みんなが楽しむのを至上の幸せと考えるオヤジさんに人目に映るよう日頃は演出しているが、実は利己的で自分勝手。苦しいことは人に押しつけておいしい所だけはしっかりいただく事にかけては世界一と自負している私はあくまでも自分の都合のいいように「ミッドウインター祭」を脚色していった。

お祭りとくれば宴会である。それをベストテーマに越冬している私としては、「一回でも多くBUTなるべく疲れないようにでも自分でも十分楽しめるようなイベントにしたいけれど、それをあまり主張するとみんなに嫌われるからあまりめだたないように意図を織り込む。」と密かに誓ってプラン作りを進めて行くことにした。あーずるい、ずるい。


「昭和基地ミッドウインター祭」

注意:写真はすべて国立極地研究所に属します。
個人で楽しむ以外(メディア等への掲載)は禁止します。



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