2001.2.26号 07:00配信


南極のドーム基地住人だった西村淳の
アドベンチャークッキング2
【気ままに語る食と人の話】

春の風が吹いてきた5


話が脱線することもはなはだしく、とうとう「便所扉はりつき婆ちゃん」の世界まで飛んでしまったが、あまり酔っぱらいの戯言みたいな事ばかり喋っていてもせっかく応援してくれている156,000人の読者(又自分だけで思っている・・)もどこか遠くへ行ってしまいそうだし、話しを戻す事にして、¥4,000,000の話から・・・
確かにこの世には¥4,000,000を一晩で料亭や銀座でさらーっと使ってしまう方も多々おられるだろう。友達になりたいような気がしないでもないが・・・不幸にしてか幸いにしてか一概には言えないが、周りを見渡してもそんな知り合いは一人もいないし・・・・・。

しかし¥4,000,000と言えば大金も大金。車だとかなり良い奴をゲット出来るし、家の頭金位にはなるし、文庫本だと5,000冊は買えるし、ノートパソコンだって20台は買えるし、世界一周旅行は一家4名で行けるし、レンタルビデオも8,000本は借りられるし、仮に「好きなだけ使えー」と¥4,000,000もらったとしても、20台もパソコンは買わないし、先祖が騎馬民族系統だったらしい我が夫婦は、定着して家を持つ事にさほど執着心はないし、レンタルビデオだって毎日、毎日21年間も連続して見るつもりもないのだけれど、一公務員にしてみると10億や20億円は雲の遙か上の単位だから金とはとても想像できない金額だが、この某出版社から提示された金額は、酒でやや溶けかけた脳細胞に怒りのアドレナリンをそそぎこむのには必要にして十分な単位だった。

早速受話器を取り、03〜で始まる電話番号をプッシュした。

可愛らしい女の子の声で(女性の声はみな可愛く聞こえる・・)
「はい、 ○×△●社です」
「あのー本の出版の件ですけれど・・・・」
「はい、当社では広く皆様の原稿を募集して、本にして出版するお手伝いをさせていただいています。」
「それは自費出版というやつですか???」
「もちろん原稿を拝見して、ある程度のレベルより上だと当社で判断しましたら、企画会議を開き、お客様との共同出版や当社ですべて引き受ける企画出版と進んでいきます。何よりもまずは原稿をお送りください。」
「すみません・・・もう送っているのですが・・・・」
「∞∴♂♀○▲×・・・・・・・」
マニュアルにしたがって喋っているのだろうが、思わぬバグが入ったことで、一瞬会話がとぎれた。
世間の大企業では「会話や電話の受け答え集」なんて書類が存在し、それ以外の会話が入ってきたらこうしなさい!!なんて指導要領があるのだろうが、それにしてもこの頃ってこういうマニュアル一直線人間が、ちまたに増えてきたような気がしてならない。

先日も小樽のハンバーガ屋さんに行ったとき、職場のおやつにでもするのだろうか、一つ前に私と同年代のおやじさんが、ハンバーガーを数十個注文していた。ハンバーガーお姉ちゃん、にこにこしながら「ポテトはいかがですかーー」と問いかけたが、「芋は入らない!!」の一言。ファーストフードの店って、とかくオヤジは周囲から浮くもので、「こんな所からは早く脱出したいのよー」気持ちは私にもよくわかった。
その後の一言で、おやじは完璧にお姉ちゃんから駆逐された。「こちらでお召し上がりですかー」「・・・!!!・・???」一瞬山盛りのハンバーガーを前にして奮闘する姿が頭を横切ったが、その御仁は以後無言を通したまま、でかい紙袋2つを手にぶらさげて、店から出ていった。お姉ちゃんと言えば「何と馬鹿なことを言ってしまったのかしら」と後悔するふうでもなく、「ポテトは?? ドリンクは??こちらでーー」を連呼しつつ、元気いっぱい立ち回っていた。


うめこ亭  逆取材


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