2001.2.24号 08:00配信


南極のドーム基地住人だった西村淳の
アドベンチャークッキング2
【気ままに語る食と人の話】

春の風が吹いてきた3


初めて書いたラブレターの返事を待つ少年の様に、半分ワクワクちょっぴり不安な気持ちで、毎日郵便受けを覗いていた。
あれほど原稿を編集部一同で待っていたはずなのに、原稿が着いた途端、満を持して待っていた編集部一同が「よし着いた!! チェックは後でいいから、まずは印刷所に送れーーーーーー」と行くほど、世の中が甘いと思っていたわけでもないが、それでも「原稿受け取りました。 ありがとうございます」位のコメントがあってもいいのに・・・・と口に出したくなるほど、まったく出版社からは梨のつぶて・ノーコメント・沈黙だった。

「レ・ミゼラブル」を書いたビクトル・ユゴーの様に「?」と書いて問い合わせてみようとも思ったが、「!」と返事が返ってくるわけもなくほんとに「????????????????????」と考える日が続いた。そんなある日一通の分厚い封書が届いた。「遂に札束が送られてきたか!!」とは思わなかったが、小切手の束が来た位にはちょっと思った。

差し出し名は原稿送付先の出版社のY女史。中を開くと札束は入っていなかったが、オリンピックに出た某美人アスリートの本が一冊入っていた。ここで普通の人・常識人・見識の深い人ならば「あまりいい結果にならないのでは・・・・」と不吉な陰がよぎるところだろうが、そこは女性から送られて来たものは、たとえ飲み屋の請求書だろうと、数字の羅列の中に「又ぜひ来て下さいね」と好意たっぷりのニュアンスを感じ取れる、普通にいえばプラス思考の持ち主、世間一般用語で言えば女とみればすぐ鼻の下を伸ばすアホ!!の私は、「あーこんな形で編集されるのか・・・・・」位に思ってその内容も今となっては想い出せない本を手に取った。
ばさりと音を立てて、同封されていた封書が床に落ちた。

「やっぱり札束も同封されていたんじゃないの・・・・」なんて軽口をたたきつつ開封した。内容は確かにお金に関することだった。ただし「これだけあげまーす」ではなく「これだけ払ってくださーい」と教えてくれる案内書。日本語で言えば「見積書」と言う奴だった。その額も数十万だったら「こら高いワー」位で終わるところが限りなく¥4,000,000に近い300数十万円だった。

かつて南極に持っていく「国産超高級牛ヒレ肉」の見積もりを見て、尻の穴から内容物がなだれ落ちそうになったが、今回は内容物どころか内臓も骨も脳味噌までが、確かに流失してしまった。

それも初版はたった1,000冊だと・・・・・・・。
400万円÷1,000=4,000円のはずがなぜか一冊2,000円で販売するそうで、半分は自分で売りさばかなければならないのだとか・・・・・・・・。マルチ商法だとか、ねずみ講だとか、ちまたには人をのせて入りもしない物を買わせてしまうシステムがいろいろ存在するが、それでもその金額の最初は数万円から数十万円止まりである。そんなことは通り越していきなり「活字にしてやるから数百万出して下さーい」の松阪投手顔負けの直球勝負には、怒りが沸いて来るどころか、思わず笑ってしまった。


うめこ亭 フジテレビ  リポーターは可愛いぞ!!


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