2002.4.29号 06:00配信


那須の温泉地

オホーツクのみなさまに那須をご案内します。
(栃木県那須町:ようこ)






少し緑が多くなってきた那須街道。
萌えはじめの頃、シルバーの柔らかい葉を見れるのは
ほんの一瞬。すぐに溢れんばかりの濃い緑におおわれます。



街道の写真を撮っていたら足元にこんなに可愛い花が。
おっと危ない、踏み潰しそうになってた。
キミの名前は?




那須は温泉地としても有名。ホテル、旅館、ペンションなどの数も多く日帰りで温泉に入ってくることもできます。温泉大好きのわたしは仕事帰りにも温泉に行くほど。でも那須に住む人たちはみな温泉好きです。わたしの友達連中などもちょっとした穴場など見つけると、もううれしくて電話の声も弾んでる。
「ねぇねぇ!すごいとこ見つけたよ、ここ知ってる?」
「知らない」などと言おうもんなら大変、温泉の場所から入った感想からと話は延々と続きます。

昨年の冬の寒さときたら異常とも思えるほどで、ある朝突然我が家のボイラーが壊れました。ボイラー屋さんに電話をすると奥さんが出て「今日は家のひと、鉄砲持って山さ行っちゃったからいないんだわ、ちょっと待っててね〜」・・・・のんびりしてるのよね。結局ボイラーが直るまでの数日間わたしは温泉通い。それもまた楽し。そんなわたしのお薦め温泉をいくつかご紹介。

鹿の湯
源泉ともいわれている「鹿の湯」はその昔(半端じゃない、なんと1370年以上も前なんだから)狩野三郎行広公が神の使いの白鹿に導かれて発見したという温泉。近くにはこの公を祀った温泉神社もあります。この神社にご挨拶をすませて、お初新道と呼ばれる細い坂道を降りていくと硫黄独特の匂いがプンと鼻をつくようになり、すぐ下に温泉が見えてきます。




石段の上に温泉神社があります。
那須与一が合戦のおりに成就を祈願したことでも有名。




御神水が湧き出ている。
2千円と看板があるのに一口だけとタダ飲み
(御利益ないかも・・・)




お初新道
戦前までの湯治客は各旅館から「鹿の湯」に通って入浴をしたそうです。
道を作った人の名から「お初新道」と名づけられた
この坂道を降りて温泉に向かいます。




鹿の湯


鹿の湯は木造の古い建物。入り口もさほど広くもなく、入湯料を払いミシミシと音のしそうな板張りの廊下の突き当たりが女湯。中は木の枠の浴槽が5つ、それぞれ好みによりお湯の熱さが選べるようになってます。一番温度の低い41度の浴槽でも10分も入っていると汗ばむほど。ちょっと見にはエメラルドグリーンにも見えるんだけど両手でお湯をすくうと透明。これは空気に触れると色が変わる硫黄のせいだと隣に入ってきたおばさんが教えてくれました。
「これが湯の花」言われてみればなるほど木の枠に白いものがついていました。
「わたしは温泉好きであちこち歩いているんだけど鹿の湯が一番いいよ」
温泉って知らない者同士でもなんとなく親しく話しをしたりしません?夏は温泉神社の近くに「朝市」があり、ここにお店を出した人たちが一仕事終えて入っていく温泉でもあります。その人達との話もなかなか楽しいんですよ。
さて、のんびり温泉で体はポカポカ。殺生石を左に見て那須山頂に向かうと料金所があり、ここは面白いことに行きは無料、帰りに料金を払うのよね。少し走ると展望台があり、駐車場に車を止めて外に出ればほてった頬にまだまだ冷たい風が気持ちいい。今日の下界はぼんやりと霞がかって見えてました。すぐ後ろを見上げれば、雲に覆われてヒンヤリとした茶臼岳がそびえてる。わたしは冷たさと温もりのちょうど中間地点に立っていた。




雪の残っている茶臼岳



展望台から見下す那須温泉街
写真手前に殺生石、今入ってきた「鹿の湯」も見えます。
左手に見える道を登ってきました。




高雄温泉
那須七湯のひとつと聞いてはいましたがなんせガイドブックにも載っていない。野趣あふれる秘湯とのことです。どこにあるんだろう・・と思ってたら職場の同僚が
調べてきてくれました。場所を教えてもらうと なんだ近いじゃない。見るだけなら仕事の合間にも行ってこれそう。

制限時間は2時間 お昼休みに行ってみることにしました。濃い緑いっぱいの那須街道を抜けて30分くらい。途中わき道に入るんだけど、すれ違う車もない。シンとした山道です。朽ち果てた廃墟があり、すぐ上に茶臼岳がそびえてる。行けども行けども温泉らしきものもなく道間違えたか、どこかUターンできる場所を探して
今日は帰ろうかと思ったほど。




ぐんと緑が濃くなっている那須街道です。


道の土手沿いに見られた小さなスミレ
タチツボスミレという名前とのこと。




どうしよう・・と車を走らせていたらん??右に見える小川、水の色が淡い緑色をしています。これって「鹿の湯」でも見た硫黄と同じ?・・じゃもしかしたらと
上流を見上げると、いました!腰にタオルをまいただけの男の人が立っている。見つけた!

かなり広い駐車場もありました。焼失した旅館の跡地に地元の人達の好意で温泉だけが残っているのだそうです。



山道をどんどん上に車を走らせる。


淡い緑色の川の流れを見つけました。


焼失した旅館の跡地が駐車場になっています。
かなり広い。




鳥がさえずり、山桜が咲いて本当に秘湯と呼ぶにピッタリ・・と駐車場でキョロキョロしていたら露天風呂のほうで先ほどのタオルだけのおじさんが手招きをしている。デジカメ片手に行ってみると「入りな」気さくなんですよねこれが。「いや・・今日は・・」と言うと側にいた水着を着たご婦人、手に持っていたタオルをひょいと渡してくれ「これ、使っていいよ」。見ると、14,5人は入れそうな露天風呂、女性も何人かいました。流れの下のほうに小さな温泉もふたつ。「女のひとはこっちに入るといいよ、ひとり風呂みたいだ」。手を入れてみると、さほど熱いとは感じないくらいの湯加減。とってもきれいに澄んだお湯です。不思議なことに流れの下のほうが硫黄のせいか色が変わってみえました。

「写真、撮っても大丈夫?」聞くと、
「平気だよ、ここはいつ来ても人がいる。朝でも、真夜中でも」
「真夜中? だってここ電気もないですよね?」
「夜のほうが女の人達はいいみたいだよ、見えないから」
なるほどね・・それに露天風呂に入りながら見下ろす夜景もなかなかのもんだとのこと。

「昭和天皇が皇太子の頃にここに来たそうだよ。これが記念の脾」露天風呂のすぐ近くに苔むした石碑らしきものが見えた。「じゃ、天皇もここに入ったの?」
まさかそんなこともないでしょうけどね。このおじさん、かなりのおしゃべり好きと見えそれから話は昭和天皇が御用邸を作ることになったいきさつにまで飛びました。

ここからの眺めはほんとうに素晴らしく「絶景かな」という台詞まで出てきそう。

次は水着持参、タオル持参で来よう。(ようこ)



露天風呂
口コミで広まっているとのことで、ここはいつ行っても
人がいるそうです。



硫黄の匂いはしますが、澄んだきれいなお湯。


露天風呂から見下ろすとこんな感じ。






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