2001.12.3号 07:00配信
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『仮面の男』(1975年製作)


今回はね、いつかこんな感じになったような気がするなぁと思った作品。その作品の名前は、「第三の終章」。皆さん覚えてますかね。私が、コロンボの中で、1番難解なストーリーだといったやつ。今回の作品も、難解じゃないんだけど、何で、相手が観念したのかさっぱりわからない。いや、証拠はあるんですよ。珍しくね。引っかけでもないし、自白(かなぁ)でもないし。でもおかしいんだ。それはあとで説明するけど。それと、再登場の人が多いっていうのもいいんだな。

経営コンサルタントの名を借りたCIAのブレナーは、死んだはずの相棒(ジェロニモという名前なんだけど、この人、裸の銃を持つ男で有名なレスリー・ニールセンなので、ちょっとジェロニモって言う名前が思い出せなくて困りました。)がやってきてビックリする。ブレナーは自分の地位を利用し2重スパイをしていた。その分け前をよこせと、ジェロニモ(ニールセン)が言う。ブレナーはその前に、マイクロフィルムの受け渡しの仕事を要求する。ジェロニモは、約束された酒場シンドバットでメルビルという男に会い、桟橋の下で話をまとめる。メルビルが帰ったあと、ブレナーが現れて、鉄の棒でジェロニモを殴り殺す。物取りの犯行だ。なんせ底は、「物取り天国」だから。さて、コロンボ登場。死体を見て物取りが、ジャケットを脱がして金目の物を取ったことに、コロンボだけ不思議がる。コロンボは、泊まってたホテルから、犯行までの間にジェロニモが遊園地に行っていたことを突き止め、写真屋のお色気たっぷりの(背中のビキニのあとが生々しい)お姉ちゃんとともに、ジェロニモとブレナーが移った写真を発見する。そこでいつものごとく、ねちっこくコロンボは、ブレナーに付きまとう。

ブレナーは自分の上司に訴え、CIA上層部の部長さんから圧力がかかる。しかし、そんなことで、引き下がるコロンボではなく、やっとこ、証拠を見つける。殺人のあった時間にブレナーにはアリバイがあった。夜11時に会社の中で演説の原稿をカセットテープに吹き込んでいたというのだ。実際は、朝に出社して、オフィスの時計を細工して夜11時に夏時計の音を入れていたから、アリバイはばっちりのはずだった。だが、その中に、オリンピックの中国不参加の話が出ていた。このことは、犯行のあった次の朝でしか知りえないことだったのだ。そのことを知らされたブレナーは観念して話し始める。めでたしめでたし。

あ?めでたし、めでたしか?ちょっと待ってくれ。確かにブレナーのアリバイは崩れた。しかし、犯行時刻にあの酒場シンドバットの近くの桟橋に行ったことも、殺人の動機も凶器も何にもない。それなのに、ブレナーがぺらぺらと犯行を話してしまうのには無理がないか?何かこういうのあったなぁ。「アリバイのダイヤル」だった。あの時も、テープレコーダーに自分の声を入れてアリバイを作って、しかもあの時も、時計の音だった。それに、証拠も動機も明かされずに結末をむかえた。同じ過ちを繰り返している作品に未来はないぞ。(そりゃそうだ。もう終わってるし)

しかし。この作品はコロンボをずっと見ている人には非常に楽しみが多いんですよ。

・まず、このブレナーさん。この人は、「祝砲の挽歌」で、あの嫌な校長役をしていた人。髪の毛が短い方が似合うと思うんだけどなあ。
・そして、殺され役のレスリー・ニールセン。どう見ても裸の銃を持つ男なんだなぁ。シリアスは向かないって。違和感たっぷり。確か、「もう一つの鍵」のバカ女の恋人役だったっけなあ。あん時も違和感あったけど、あの時よりふけてるから余計。
・クレーマー検事再々登場。いいねぇ。コロンボが、あっさりもの言うところなんてさ。馬鹿にしてんだか、信頼してんだか。いつも格好が代わらないので、いいね。
・酒場シンドバットのバーテン。元警官という設定だったけど、この人、「権力の墓穴」で、こそ泥のアーチーって言う人でしょ。出世したんだね。
・スピーチをしたイタリア系のワインメーカーのデフォンテさん。コロンボにぶどうをあげた人ね。あの人は、「逆転の構図」で、酔っ払いの浮浪者って言う役で出てたよね。
・CIAの部長さん。あの方は、確か「奥様は魔女」でおなじみのダーリンの上司じゃないかな?もしかしてダーリンもCIAだったのかあ?
・シンドバットで踊ってた踊りこさん。別にこの人は再登場でないけど、いい踊り手だったなあ。あんな踊り見せてくれるお店って、日本ではないんだろうな。コロンボは「目がいい」っていってたけど、私は、腰つきがすごいと思ったけど。

とまぁ、登場人物が良かったけど、内容的には、最後までドキドキさせていい作品なんだけど、最後が良くないなあ。もっと何かあるでしょ。って感じ。そこまで追い詰めるのはなかなか良かったんだけどなぁ。評価としては、81点ぐらい?作品は良くないこともないけど、登場人物が楽しめたからね。でも、交通公園って何?

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