2001.11.19号 07:00配信
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『忘れられたスター』(1975年製作)


今回も結構有名な作品で、何回かTVで放送されていると思うよ。出てくる犯人も、憎たらしい人ではなく、美しい女性だったし、殺人の動機もたわいのないことだった。作品的には、ちょっともたつく感はあっても、いい出来でしたよ。

かつての大女優グレース(本当に大女優だったらしい。本名ジャネット・リー。ウオーキングマイベイビーやあの有名な「サイコ」にも出ていたらしい。でも私は知らない。誰か知ってる?)は、リバイバルされた映画がたいへん好評だったので、今度はミュージカルをやろうと発表した。しかし、元医者の旦那さん(かなりのじいさん)は反対し、金も出さないと言い放つ。(まあ、50万ドルって言ったら、今なら6000万円。当時は360円なら1億8千万円ってことかい?そりゃあムリだわな)そこで、逆上したグレースは、旦那さんを自殺に見せかけ殺す。自分の様態を気にしての自殺のように。

ここでコロンボが登場。夜中の1時半にたたき起こされたコロンボは、この自殺がおかしいといつものごとく、彼だけ気づく。まず、1時間45分しかない映画が当夜に限って2時間以上も上演にかかったこと。前立腺の病気を苦に自殺することはない。ましてやこの旦那さんは元医者だ。しかも、自殺する人間が睡眠薬を飲んだり、読んでいた本がこの世の別れに読むべき本ではなくコメディーだったこと。その本にいつもつけてる折り目がなかったこと。スリッパには外に出た形跡がなく、銃を持って来たとは考えられないこと。などなど。

そしてコロンボは決定的な証拠を見つける。旦那さんが持っていたカルテの中に、奥さんのカルテがあった。名前は、「ロージー」。彼女のお気に入りの映画での彼女の名前だ。そこには、脳に治療不可能な動脈瘤が出来ていた。余命は長くて2ヶ月。激しい運動をすると、すぐにでも死期を迎えるこを知っていて旦那さんはミュージカルを反対したのだった。病気とともにグレースの記憶力は低下していく。今では昨日起きたこともあやふやだった。コロンボは、以上の理由でグレースを逮捕しようとしたが、ミュージカルをプロデュースする、ダイヤモンドさん(彼は昔からグレースの共演者であり、好意を持っていた)が、「俺がやった」と自白する。コロンボは、「そんな嘘はすぐ崩せる。」といったが、ダイヤモンドさんは「2ヶ月持てばいい。」という。コロンボは、「そうね。」といい、ダイヤモンドさんを連れ立って外に出る。美しい。

今回のラストシーンは、絶品です。これ以上のものはありません。ダイヤモンドさんがもう自分の旦那を殺したという記憶もなくなったグレースに「自分が殺したん
だ。」というところなんてとてもよかった。映画のライトが2人の顔を照らし、まるで走馬灯のようだった。音楽は流れておらず、2人の会話だけが聞こえる。コロンボは全く口をはさまない。いいねぇ。とってもいい。まるで映画のようです。この前の「モーニング娘のもう大変でした」で、ゲストの三輪さんが、「愛って言うのはね、その人のために地球が回ってること(たっだような)」といってましたが、まさしくダイヤモンドさんは、グレースのために罪をかぶるという・・・あぁ、こうありたいですな。

しかし。今回はもう大変なくらいお楽しみ&おかしいところがあるぞ。

・お手伝いさん(召使?)の奥さんって若過ぎないか?あのコロンボを嫌がってるじじいの奥さんだぞ。どうやってたぶらかしたのか?
・グレースの旦那さんも年食いすぎ。70は越えてるよね。年の差なんて、金があればいいのか?旦那も言ってるね。「愛情だけで結婚したとは思ってない」って。金持ちって悲しいなあ。
・最初にコロンボが家に来たときコーヒーもらったでしょ。そして、文句言われながら、2階に行ったら、ソーサーがない!どこにおいてきたのか。
・しかも、あんな小さなカップなのに、コーヒー飲むったらないなあ。
・なんで自殺に見せかけたのか。世界旅行に行くって言ったから、海に落とせば良いのに。あの高齢で自殺はしないでしょ普通。計画的のようで、そうでもないなあ。
・でね、この殺されたじじい。何で、グレースの病気のことを知らせなかったのか?医者だったのに。告知しない主義だったのかな?でも告知して2人で病気と闘うって言うのが一般的じゃないかな?当時はそうでもない?
・明石屋さんまさんが「自分の出てる番組をVTRで何度も見る」といってましたが、このグレースもおんなじ。何度もこの映画見てんでしょ。周りの人も飽きないかね。
・今回はコロンボがメモ取るとき、鉛筆だけでなく、メモごと借りていたのが楽しかった。
・よくアメリカの人たちって車に銃隠すけど、そんなに物騒なのかな?
・そういえば、現場検証にきていた茶色のジャケットの刑事。だいぶ前にいたよね。「悪の温室」で、コロンボの部下になった人。覚えてます?結構やり手だったので、きっと、出世したんでしょうなあ。でも、このあと「魔術師の幻想」にも部下が出てくるんだけど、確か同じ人だったような気がする。遣いまわし?
・コロンボのタキシード姿を見れるのがとってもいい。ついでに奥さんも見られるかと思ったのに。

んー。今回の作品は、大女優(なのかな?)のジャネット・リーに気を遣った作品ともいえますね。なんか殺す時も憎しみでてないし、殺人そのものを忘れるっていう設定も。でもね。この人の設定が大女優ってことで、もしかしたら、しらばっくれてるのかもしれませんよね。じつはカルテも見ててさ、案外演技しているのかも。深読みすぎ?

で、最後に物申す。この作品はかなりいい出来で、名作の中に入るわけですが、なぜ、コロンボの射撃テストの話を入れたのか?入れないでよかった。他のつまらない作品に入れればよかったのに。美味しいケーキに、砂糖をまぶしているようだ。余計なことすんなって。

今回の作品は、唯一コロンボが犯人を逮捕しなかった作品ということで100点をあげてもいいのに、拳銃テスト(コレはコレで面白いんですよ。間違えないでください。この作品には、いらないって言うことで)が入っていたので、95点。なければ、殿堂入りでした。
次の作品は、あんまり有名ではないけどストーリー的にはいいよ。



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