2001.8.20号 07:00配信
Home


『野望の果て』(1973年製作)


今回は、前回の「別れのワイン」とは違って、全く知られていないマイナーな作品でしたが、作品そのものは思ったより良く、めっけもんって言う感じでした。ちょっと話の流れと全く関係ないシーン(途中でおまわりさんに道を聞いたら、コロンボの車が整備不良だと注意されたシーンと、歯医者のシーン。TV放送ではカットしてあるところだけど、当然だね)があって、いつものように74分ぐらいにまとめてもよかったのになーと思いました。でも、今回は「はぐれ刑事純情派」みたいなストーリーで大変よかったです。

上院議員候補(補欠選挙って言うのがいいね)のヘイワードは、ある組織から狙われていると言うことで、世間の注目を集め、選挙戦を有利にしようとしていた。(これはいいかもね)しかし、選挙参謀のストーンさんは、ヘイワードが愛人のリンダと仲良くやっているのは印象も悪いし、これからもいいことないから別れなさいと忠告した。ところが、そううまくはいかないんだな。男と女の中っていうのはさ、他人から見たら「何であんな人と」と思うけど、タデ食う虫も好き好きだから。そこで、組織が自分と間違えて暗殺されたように見せかけて殺す方法をとった。これはうまくいったね。コロンボでさえこの殺人事件にはても足も出ないで、ヘイワードを心理的に追い詰めることしか出来なかった。たとえば、電話はどこでかけたのかとか、時計だ安っぽいとか。でも決めては全くなし。犯人はヘイワードじゃないかなあ・・・って言うだけ。しかし、第2の殺人未遂計画で見事コロンボに見破られて逮捕されちゃうんだけど、まぁ、これは見てのお楽しみ。結構「あぁ、そうか。それでコロンボは全く動かなかったんだ。」と思うはず。

さて、最初に「はぐれ刑事純情派」みたいだと書いたのは、今回ね、ストーリーがはっきりしているんですよ。ヘイワードが愛人が邪魔だと言われて、ストーンを殺す。その殺したところに刑事がうじゃうじゃやってきて現場検証する。コロンボが犯人のところにストーンさんが殺されたって話に行く。コロンボはヘイワードのところで、事件の解説をする。車を直した工場で、新たな状況証拠をつかむ。犯人を追い詰める。第2の殺人未遂がおきる。決定的な証拠をつかんで、ハイ、御用。ね。筋が通ってる。引っ掛けも、誘導尋問もない。ねちねち犯人に絡まない。愛人のリンダさんが事件と全く無関係。親戚の話も愛犬も出ない。カミサンがヘイワードのファンだって言うだけ。ね、コロンボらしくないでしょ。あっさりしてるんですよ。これなら別にコロンボでなくても良いかなって思いますけど。

でもね、きっと、視聴者から苦情が来たんだと思うよ。コロンボの解決法では有罪にならないってね。いつも張ったりじゃないかって。「毒のある花」も「別れもワイン」も決定的な証拠がなかったじゃないかってね。その通り。でもそれがコロンボ。1回みただけではストーリーが分からない内容。複雑な人間関係。コロンボのねちねち攻撃。カミサンや親戚の話。おんぼろプジョー。ぶしつけな全く関係ない質問。そして、「あとひとつだけ・・・」それがコロンボ。でも今回はそのコロンボがシャワーでも浴びたようにスッキリ。これを良しと見るか、ダメと見るかは見た人の感じ方だね。私は良しと感じた。こういうコロンボが見れてよかったと。

そういえば、今回もちょっとした工夫がありました。コロンボが番組始まって2分で画面に出ているところ。いつもなら20分しないとコロンボが登場しないでしょ。それがすぐ見れるって言うのが良いね。「別れのワイン」でも、コロンボが警察で宿直しているシーンがあったけど、毎回お楽しみシーンがちょっとあるね。次回はあるのかなあ。楽しみ。

さて評価は、事件的にはあんまり魅力ないけど、サックリ見れたので、92点。
(でも、いらないシーンが2つあるから、2点引いて90点でも良いかな?)



コロンボのインデックス




Home
(C) 2001 webnews
ご意見・ご感想・お問い合わせはwebmaster@webnews.gr.jpまで