2001.5.20号 07:00配信
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『二枚のドガの絵』(1971年製作)


皆さんはこの「二枚のドガの絵」をご覧になったことがありますか?もし、まだ観ていないのでしたら、それはうらやましいですな。だって、最後の10秒で必ずびっくりするもの。あのドキドキはなかなか味わえないですぞ。そうですねぇ、もし、たとえるのであれば、「スティング」を観た後の感動と似ていると思います。それほどこの「二枚のドガの絵」はすばらしいのです。

じゃ、そんなに最初から最後まですべてすばらしいのか、って言うとそうでもない。「スティング」は何べんもドキドキがあるでしょ?喫茶店の娘が殺し屋だとか、FBIも偽者だったとか。ポーカーしているときもドキドキの連続ですよね。配役もすばらしい。でもコロンボはそんなにお金がないから、最後にドッキリさせることしか出来ないんです。まあ、まったくドッキリさせてくれない作品も多いんですけど。(なんせ1976年までは、1年に6本も作ってますからね。駄作も多くなるわけですよ。まあそうでないと、物申せないですけどね。)

今回は、すばらしいトリックに目が移りがちですが、結構楽しい場面もありますよ。1番よかったのは、共犯者のトレイシーが住むアパートの大家とコロンボの会話。「日が暮れるまでには見せて・・・。」と悲しそうに言うコロンボなんて、憂いを感じますね。また、前衛芸術家のサムさんのところでは、コロンボがヌードモデルにスッカリあわてちゃって、しどろもどろになって必死にサムに質問しているところなんて、とってもかわいいですよ。

ただ今回の気になったところは、マシューズさんて絵画のコレクションのことです。彼は節操がないな。風景画があれば、肖像画もある。画家だってさまざま。そういうもんじゃないでしょ。コレクターって。自分のストライクゾーンってあるでしょ?ストレートな美しい風景画を好んだり、裸婦像が好きだったり、まったく上下も分からないようなそれこそサムさんのような絵がお好みだったり。ただ「金持ちっていう設定だから、とにかく絵を飾っちゃえー」って感じでさ、いたるところに絵をおいたみたいで格好悪い。私も自称コレクター(絵じゃないよ)として、「カチン」ときましたね。コレクターってそうじゃないだろ。コレクターにはコレクターの自慢があるんだって。「マシューズコレクション」だって?本物のコレクターが見たら失笑は避けられないな。きっと。

今回は、観ていない人のために内容にはあまり触れませんでした。ぜひ観ていない方がおりましたら、レンタルビデオやさんで借りてみてください。時間も短めですし、デイルの憎たらしい顔もいいですよ。 評価96点

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