2003.5.12号 11:00配信
あなたの周りの珍しいもの、おもしろいもの、他のみんなにも見せたいものなどをこのコーナーで取り上げていきます。一般投稿を歓迎します。撮影したデータをメール添付で送ってください。送り先はwebmaster@webnews.gr.jp |
端野町の「カタクリ観察会」に参加した。端野町にカタクリの群生が見つかり、保護するための公開に踏み切った話しは聞いていたが、その実際を見るのはもちろん初めてである。公開と言っても普段は立入り禁止の山の中のこと。この時期だけ特別に観察会を開催し、カタクリへの知識と理解を得ての公開である。 どれだけ山の中かと覚悟していたが、それは以外とすぐのところにあった。立入り禁止の山に踏み入ってほどなく、林道の両脇にいくつもの紫の花を見ることができた。カタクリの花の群生を実際に目にした時は、やはり感動するものである。これがその珍しいカタクリか。「秘密の花園」とは良く言ったもので、カタクリのみならず、色々な花が静かに咲きそろって大層きれいであった。 またどうしても花だけに目がいくが、実は種から生えた1年目のカタクリは、なんとも糸のような細い姿なのである。それが2年目には小さな小さな葉をつけ、徐々に育っては7年目くらいになってようよう花をつけるそうな。そんな話しを聞けば、足を出すその下にも気を配らねば。緑の糸を1本踏めば、ひとつのカタクリがつぶれてしまうのである。 ここはカタクリの分布の東の限界地であるらしい。植物がその限界地に生きるということはとても厳しいらしく、ここのカタクリも生き延びるために様々な工夫を凝らし、特性を帯びているらしい。そのひとつとして、本来は他殖型といって、媒体をもって花粉が他の花に付くことで結実するはずのが、ここのカタクリは何と自家受粉もするとか。植物とはいえその生命力には驚かされる。 多くの動植物が絶滅の危機にさらされるのは、自然界の変化もあるのだろうが、多くは人の無謀な暮らしのせいであることが多いと思う。その中でひっそりと過酷な環境の中で生き延びているこのカタクリを守るために、専門的な研究も必要であり、また笹刈りなど、多くのボランティアの手を借りたりもしている現実を知ることができた。そして何よりも大切なのはそっとしておくことではないのかと、わざわざ山に入って見せていただいて思ったのである。 近いうちにトラスト制度を利用して、この地域を全面的に保護する計画もあるそうなので、その時には微力ながら手の届く範囲でお手伝いできたらうれしいと思った。万葉の時代から日本人にはなじみ深いカタクリである。これからも永々とおつきあいできることを願う。春の一日、山へ入り、ひっそりと咲くカタクリに会えて本当に良かったと思っている。 詳しくはこちらをご参照ください。(端野町HPより) |