1999.11.28号 14:30配信


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織物作家・佐藤千織さんのコーナー
千織の織物工房
Chiori Sato Textile Workshop



今まで、作品をつくることで自分の気持ちや自分自身を表現してきた私ですが、今回このような自分のコーナーをつくっていただいたことに大変感謝しています。これから、織物を中心としたテキスタイルについての話や、私が4年間留学していたフィンランドでの生活やフィンランドの織物、ファイバーアートと呼ばれる新しい繊維造形などについてもこれからすこしずつお話していこうと思っています。

一本の糸から一枚の布を織り上げることができるというところに惹かれて、この織物を始めたのは、大学での授業がきっかけでした。一本の糸からという点では、編物も同じ布状のものをつくることができます。織物を知らなかった子供の頃は、編み棒といろいろな色の毛糸玉で目的もなくただひたすら長いものを編んだりしてそれがとても楽しかったのを覚えています。私にとって編物は、糸と出会うきっかけをつくってくれた懐かしくて暖かいものとなりました。今では、編み棒を持つこともめったに無くなってしまいましたが、この冬は久しぶりに何か編んでみようかな

では、織物というのはどのようにしてできるのかというと、織り機の上に長くかけられた経糸(たていと)と、自分の手で織り込んでゆく緯糸(よこいと)によって織布はできていきます。経糸と緯糸との色の配色やバランス、使う素材の種類や糸の太さ、どのような技法で織るか、1cmあたりに何本の糸を入れるかという糸の密度などによって、生まれてくる布は全く違ったものになります。このような、たくさんの選択肢の中からその作品のイメージやデザインに合ったものを選んでいきます。これらのデザインの決定までに自分の前に広がるたくさんの可能性の中からひとつを選び取っていくという作業は、織りあがったものを手にする時と同じくらいわくわくするものです。そして、わくわくするといえばやはり、織り上がったあとの経糸を切る瞬間です。それまで織り機の上でピンと張られた布が、経糸を切られた瞬間にその表情を変えてゆくのを見るときに、それまでの根気のいる仕事での苦労や疲れも吹っ飛んでしまいます。そんな織物の不思議な魅力に引きこまれて、「この課題が終わったら、もう2度と織物なんかやるもんか」と友人Kと叫んでいた大学3年の夏休み、あれから10年余りが過ぎた今も、織機の前に座っている私です。

みなさんからのテキスタイルや織物についてのご意見やご質問なども、お聞かせください。お待ちしています。

佐藤千織
27/11/1999



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